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2015/03/31

7. まとめ - 新自由主義先進国、韓国の経済社会の実態

2. 格差拡大

韓国では中間層が縮小し、所得の二極化が深刻になっている。特に、「低賃金職のシニア層増加」と貧困による自殺率がOECD諸国の中で断トツの一位となっている。

1) 2012年の中間層(平均収入を中央値として、50~150%の収入にある世帯を中間層と定義付ける)の割合は41.3%で、2009年の47.4%から6.1%縮小している。
2) 12年の49%以下の低所者層は09年比で1.6%増加し32.6%に拡大している。
3) 151%以上の高所得者層は09年比で4.6%増加し、32.6%に拡大している。
4) 1年間で家計が黒字から赤字に転落した世帯のうち、中間層が占める割合が08年の31.0%から12年には42.2%に拡大するなど、中間層の台所事情も苦しくなっている。
5) 韓国社会の所得二極化が深刻化しつつあり、特に少子高齢化の進行とともに、低賃金で働かざるを得ない高齢者層(シニア層)が増加している。
6) シニア層の自殺率はOECDでもトップであり、その原因は経済的理由によるものである。

非正規職をめぐる問題は朴政権になって始まったわけではない。通貨危機で企業が正社員を絞り込んだことで非正規職が増えた。歴代の政権が経済の再生を財閥系の大企業に頼ってきたために、大企業と中小企業格差も広がった。
こうした「格差社会」が争点になったのが2012年の大統領選であった。野党候補が格差解消に向け訴えた「経済民主化」のスローガンを朴氏も掲げた。だが、政権が発足すると「経済民主化」の言葉は急速に消え、ITなどの先端技術と産業を融合させ経済成長に結びつける「創造経済」がとって代わった。
しかし、韓国経済の景気は一向に良くならず、景気回復の温もりを国民の実生活に広く行き渡らせることが出来なかった。ギ逆に、社会にのしかかる大きな課題に、各家庭が抱える「家計負債」がある。(本ブログではこれについて後で詳しく述べる)。
韓国銀行が発表した昨年7 ~9月期の家計負債は1060兆3千億ウオン(約113兆7千億円)で、04年同期から10年で倍以上に増えた。多くが住宅ローンや住宅を担保にした借り入れとされる。
財閥系大企業では「企業業績が上がっても溜め込むだけで、お金が家計に回らず、実質賃金も増えていない」と指摘されている。

日本における小泉構造改革(新自由主義)も同様で、「日本の製造業は誰のために配当金を巨額化したのか」という問題がある。国内の製造業の配当金と労働分配率(企業付加価値から人件費として支払われた割合)を見ると、特に2001年以降(小泉政権時代)に顕著な変化が見られる。すなわち、労働分配率が引き下げられていく中で、逆に配当金が巨額化していることがわかる(財務省「法人企業統計」)。
日本の製造業が特に、小泉政権以降、人件費よりも配当金という色を強めたのは疑う余地はない。まさしく、韓国経済の株主資本主義(グローバリズム)そのものである。

デフレ下での日本は企業はそう簡単に配当金の源資となる利益を増やすことができない。そこで、小泉政権末期の2006年前後に巨額化した配当金の源資は、完全に従業員への賃金を減らしてその減らした分を配当金に充当したということになる。配当金は2002年から上昇し、2004~2008年にかけてピークとなり、小泉政権末期に当たる2006年に最大となっているのである。




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2015/03/01

7. まとめ - 新自由主義先進国、韓国の経済社会の実態

1. 労働者の実態
1) 雇用者の32.4%%が非正規労働者(日本は30%)
2) 労働者全体のうち、ワーキングプア(年収が200万円未満)は40%を占める
3) 20~30歳の有職者のうち、30%が年収200万円未満
4) 20~39歳の未婚者の14.3%は無職
5) 生活環境の劣悪さは結婚観にあらわれる
  ①「結婚したいと思わない」・・・・・・・34.1%
②「結婚できるかわからない」・・・・・20.3%
③「結婚したいができないと思う」・・・18.8%
6) 手取月収は「なし」18.5%、「15万円未満」が57%
7) 4人に3人以上(77%)が親と同居、そうならざるを得ない収入実態

非正規労働者の急増
韓国では1997年の通貨危機を経て「企業が生きてこそ人を雇える」との考えで、企業にための政策が多くなった。韓国統計庁によると、非正規労働者の数は増え続け、2014年8月時点で607万7千人となり、全労働者の32.4%を占めている。解約機関が終われば、解雇の対象になり、賃金の格差拡大も大きい。正規労働者の月収は昨年6~8月の平均で260万4千ウオン(約27万9千円)だったのに対し、非正規労働者の場合は146万3千ウオン(約15万6千円)と半分程度だった。
韓国労働社会研究所のキム・ユソン先任研究委員は、政府の統計は非正規労働者の定義が狭く、実際は850万人で全体の45%を占めているとみている。

政府が昨年12月、35最以上の期間労働者や派遣労働者の雇用期間延長などの総合対策案を発表したのに対し、労働組合側は「抜本的な解決にはならない」と批判している。
ソウル中心部の明洞では今も連日、非正規労働者らが泊まりがけで抗議集会を続けている。参加者の一人は「週40時間も働き、休みもほとんどないのに、契約期間が終われば、解雇に直面する。政府は非正規職を制度的に廃止すべき」だと訴えている(朝日新聞2015/2/24付)。

日本においても、中曽根政権でレーガノミクス(新自由主義)が導入され、小泉政権で本格的な新自由主義的構造改革(小泉構造改革)を通して、製造業まで派遣社員(非正規労働者)の導入が行われた。その結果、現在非正規労働者の割合は約30%に達している(グローバル、新自由主義先進国である韓国が公式に発表している非正規労働者の割合32.4%と大差ない)。また、日本の非正規労働者の月収は正規の約60%程度で、原則としてボーナスの支払いもなく、韓国と比べても大きな差異はないまでに肉迫しているのが現状である。
さらに、韓国では財閥系大手企業による内部留保が約100兆円であるのに対し、日本の大企業における内部留保は約300兆円に上るとされている。このような膨大な金をため込んでいるにもかかわらず、労働分配率は低下し続け、逆に役員報酬や配当金等が上昇しているのである。全く、韓国と同様に労働者の実質賃金がマイナスに推移しているのである。
まさに、フランス経済学者トマ・ピケティのいう格差を生む「r > g 」そのもであることを示している。
日本の実態もグローバル先進国(世界的な新自由主義先進国)韓国の後を追っていることがよくわかる。日本の小泉構造改革の行く末は韓国そのものであるように見えるが、決して真似をしてはならない対象なのである。



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2015/02/04

7. まとめ - 新自由主義の行く末

新自由主義の帰結(行く末)

1980年以降に世界に蔓延した「グローバリズム」は、地球規模で資本を移動させ、激烈な競争を通じて利益を最大化することを目的とする点では、新自由主義そのものです。しかし、ヒトは何も「利益」のためばかりに生きているわけではありません。自分たちの生活空間の環境を維持し、より快適、安全に暮らしていくことも、またヒトは欲するのです。中国はこれに反した経済社会であるが、このような場合、民主主義国では国民は民主的なプロセスにより、自分たちの生活空間を守るため、企業の「利益追求」を規制することができるのです。しかしながら、新自由主義者らはこの「規制」に断固反対するのです。

韓国経済の体質は大きく変えたのは、1997年の通貨危機によります。IMF管理下、韓国政府は同一産業部門や強い部門の統合など、銀行からの借り入れなどで競って事業を拡大した財閥の再編成を促す一方、労働規制を緩和しました。その結果、新自由主義的構造改革等(弱肉強食による激烈な競争、法人税減税、人件費のコスト化など)を通して企業の儲けを最大化する(一方では、国民が貧乏になる)ことにより、経済そのものは急速な回復を果たしました。2000年以降も4%の成長率を保ってきました。しかしながら、それによって大きな副作用(負の遺産)も発生しました。企業が正社員を絞り込んだために非正規労働者が増え、サムスンや現代自動車といった一部の財閥への富の集中が進んだのです。最大財閥のサムスングループだけで韓国の国内総生産(GDP)の20%を占めるほどの大きさです。競争力のある中小企業のすそ野は乏しく、国内に高学歴の若者が期待するような雇用や投資も十分生まれなかったのです。

韓国経済の10大財閥の売上高はGDPの70%に上り、これら財閥に属する輸出大企業はグローバル企業であり、韓国は日本以上にグローバル化(新自由主義化)が進んだ国です。
したがって、新自由主義(グローバリズム)の帰結(行く末)は、その先進国である韓国の実態をみればある程度推測できるのではないでしょうか。
そこで、今後、韓国の経済社会の実態を見ていくことにします。
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2015/01/04

6. 低炭素・循環型社会の構築

8) 循環型エネルギー社会の実現に向けた最先端未来技術 ~ 人工光合成システム
8)-3 水素社会への水素源供給システムとして有望

水素を利用した燃料電池車、大規模発電など水素社会実現に実現に向けて、必要な水素を安価にしかも安全かつエコな状態で供給しうるシステムとして人工光合成が挙げられます。水素は爆発性の高い気体であり、その運搬および貯蔵等には大きな危険性があり、それを回避するには大きなコスト(炭素繊維からなる耐圧容器、貯蔵容器)がかかるのです。

人工光合成システムでは二酸化炭素を反応させてできる生成物の種類をコントロールすることができるという大きなメリットがあります。この生成生物の種類をコントロールするのが金属触媒です。イリジウム系の触媒を採用することにより、生成物としてギ酸の選択性が向上し、世界最高となる太陽光エネルギー変換効率0.2% (太陽光エネルギーに対する生成されたギ酸を主成分とする有機物の燃焼エネルギーの割合)を達成しています。

ギ酸は最も簡単な構造のカルボン酸(HCOOH)で、工業的に大量に製造されており、防腐剤や抗菌剤として、あるいは香料や染料の化学原料として利用されています。最近ではギ酸から高効率に水素を取り出す触媒も開発されているので、運搬、貯蔵が困難で、危険性の高い水素の代わりに、液体のギ酸の形で運搬、貯蔵し、ギ酸から取り出した水素で発電する燃料電池が検討されています。

水素の運搬、貯蔵は厄介で爆発の危険性を伴うため、液体で運搬、貯蔵でき、簡単に水素を取り出すことができる人工光合成生成物としてのギ酸を水素源として用いることにより、水素ステーション等の社会インフラ構築コストも低減できることが期待されています。
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2014/12/03

6. 低炭素・循環型社会の構築

8) 循環型エネルギー社会の実現に向けた最先端未来技術 ~ 人工光合成システム
8)-1 未知の領域(人工光合成)への挑戦
人工光合成とは植物の光合成を人工的にミミックした技術です。植物の光合成反応は、
①明反応: 太陽光のエネルギーで水を分解して水素イオンと電子と酸素を生成、
②暗反応: 明反応で得られた電子と水素イオンを用いて二酸化炭素からグルコースを始めとしてデンプンやセルロースなどの炭水化物を生成、
から成り立っています。
化石燃料から発生する地球温暖化ガスである二酸化炭素を吸収すると共に、その二酸化炭素から燃料を造りだす技術として人工光合成は世界中から注目されています。

日本における人工光合成の研究開発は、大学および企業それぞれで活発に行われています。大学などで行われている研究の多くは、誘起錯体(有機物系の配位子に金属の原子が結合した構造を持つ化合物)を用いて植物の光合成をミミックするというアプローチを採用しており、多くの注目すべき成果が得られています。しかしながら、誘起錯体は特定の波長の光にしか反応しないため、幅広い波長で構成されている太陽光を十分に活用できないという欠点が指摘されています。
一方、企業サイド、特にパナソニックの先端技術研究所が開発された人工光合成システムは、次のような特徴を持っており非常に注目されています。
①光電極に窒化半導体を採用、光により励起された電子を二酸化炭素の還元に必要なエネルギー状態にまで一気に高めることに初めて成功、
②還元電極に電子が伝わりやすい金属触媒を用いることで二酸化炭素の反応を促進。電気的な損失がすくないために、反応速度が高速化されるとともに、触媒となる金属の種類を変えれば、有機物を選択的に生成させることが可能。
このように、「反応に用いる電極をすべて無機材料のみで構成するシンプル、かつ高効率なシステム」であるという特徴を有するパナソニックの独自技術なのです。

8)-2 光電極 ~ GaN半導体の採用
人工光合成システムを開発するに当たって、二酸化炭素は物が燃焼した後に残る安定した物質です。そのため、二酸化炭素から炭化水素やアルコールを生成する反応を起こすには、高いエネルギーが必要となります。太陽光からいかにして高い反応エネルギーを造りだすかが大きな課題でした。
半導体に光を照射すると光のエネルギーによって半導体の電子がその物質固有のエネルギー状態へと高められます。パナソニックのプロジェクトメンバーは、このエネルギー状態の高さに注目し、様々な物質に対して、光を吸収した電子のエネルギー状態を調べ、窒化物系の材料を用いれば二酸化炭素の還元に必要なレベルにまで電子のエネルギーを高められることを見出したのです。LED照明やパワーデバイスの材料としてなじみ深い窒化ガリウム(GaN)を光電極として採用したのです。

さらに、これまで培った半導体技術を生かして、GaN電極の高効率化を図るための工夫を施しました。光を吸収して電子を生成する「光吸収層」と、電子が移動しやすい「電子伝導層」からなる積層構造の光電極を考案、サファイヤ基板上に結晶成長させたn型のGaN層上に、窒化アルミニュームガリウム(AlGaN)層を形成させました。さらに、電極表面には酸素の発生を促進する触媒として酸化ニッケル(NiO)を配置。こうした工夫により太陽光が二酸化炭素の反応に必要なエネルギーの電子を効率よく生成することに成功したのです。

業界において、光触媒としては酸化チタンに代表される酸化物系の粉末触媒が主流であり、多くの研究者にとって窒化物であり比較的波長の短い光にしか反応しないGaNは研究の対象外でした。その上に、半導体技術者にとってGaNはなじみ深い物質であるものの、半導体基板をそのまま電解質溶液に浸すなど常識ではありえない発想であったのです。
その領域の「常識」や「先入観」にとらわれることなく、化学や半導体など、それぞれの領域が交わらない隙間にこそ解があるとする確信が、この人工光合成システムの開発に導いたとのことです。



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