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2011/10/21

5. 日本の進むべき道 -小さな政府か、大きな政府か -

4) 大きな政府、北欧諸国の実態
4-2) 北欧諸国の経済
4) 自殺率
自殺率は、その国の幸福度を直接反映するものとは言えませんが、日本では経済的な理由による自殺が多いのも事実です。北欧諸国も日本と同様に自殺率が高いと言われていますが、北欧諸国は日照時間が短く、日光に浴びる機会が少なくなり発症しやすい冬季うつ病が高いことも関係しているのかもしれません。
WHOによる自殺率の国債比較(WHO 2007.11)によると、10万人当たりの自殺者数は(1) リトアニア(04) 40.2, (2) ベラルーシ(04) 35.1, (3) ロシア(04) 34.3, (4) カザフスタン(03) 29.2, (5) ハンガリー(03) 27.7, (6) ガイアナ(03) 27.2, (7)スロベニア(04) 25.6, (8) ラトビア(04) 24.3, (9) 日本(04) 24.0, (11) 韓国(04) 23.8, (16) フィンランド(04) 20.3, (28) デンマーク(01) 13.6, (32) スウェーデン(02) 13.2, (42) ノルウェー(04) 11.5, (43) 米国(02) 11.0となっています。

北欧諸国の気候、特に日照時間が短いことによる「うつ病の発症率」の高さを考慮したとしても、福祉国家の北欧諸国と比べて、日本の自殺率は明らかに高いことがわかります。日本人のオピニオンリーダーの中には、これらの事実を無視して、北欧諸国のような高負担で高福祉国家では、国民のやる気・活力が低下しており、勢い自殺率も高いと主張している人たちがいます。このような人たちがTV番組でのコメンテーターやオピニオンリーダーとして、何も知らない国民をミスリードしているのです。このようなミスリードは、この問題だけでなく、あらゆる日本の政治・経済および社会問題にも見られる現象であり、日本がこれからの多くの問題に対して根本的な問題解決ができない大きな要因の一つになっているのではないでしょうか。

以上のように、高負担、高福祉国家と言われている北欧諸国の経済社会システムの一端をみてきましたが、統計で見る限り国民は非常に恵まれた環境で安心して生活でき、また老後の生活も保障されており、何の心配もないのはうらやましい限りです。それに引き換え、米国の新自由主義を模倣してきた日本の現状はどうでしょうか。
小泉構造改革の「負の遺産」が日本の経済社会を疲弊させ、格差拡大、非正規労働者や日雇い労働者が全勤労者の4割に達し、低賃金であるとともに、不況時における企業の人件費の調節弁と化していること、年収200万円以下の低所得者が1000万人を超え、国民年金や国民健康保険料も払えないワーキングプアやネットカフェ難民などの新しい貧困層の発生、世界一に迫る貧困率の上昇、国民年金制度の崩壊、生活保護世帯の急増(09年1月で約117万世帯、2011年6月には戦後最多の約148万世帯、204万人)、若者の凶悪犯罪(無差別殺傷事件)の増加、税による富の再配分機能の低下による地方経済の疲弊(シャッター通りの急増)、農村の崩壊および限界集落の急増、中核病院の閉鎖・縮小、医師不足、救急患者や妊婦の病院タライ回しなどの医療危機、年間3万人を超える自殺者、-----など、数え上げればキリがないほど経済社会システムに多くの破綻が起こっています。これらの解決に向けて、政府与党はほとんど具体的な手を打っていないし、あるいは財政危機などにより打てない状況にあります。
日本国民は、北欧諸国に比べこのような悲惨な状況に置かれているのです。何とかしなければならないと真剣に考え行動するべき事態に直面しているのではないでしょうか。
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小泉構造改革の総括と日本の進むべき道 | Comments(0) | Trackback(0)
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