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2015/06/10

7. まとめ ~ 新自由主義先進国、韓国の経済社会の実態

7-3) 韓国ワーキングプア、88万ウオン世代

「韓国ワーキングプア、88万ウオン世代」という本が2009年3月に発売されている。2007年の韓国ベストセラーとなった経済学者ウ・ソクフン氏の著者の邦訳である。88万ウオンは、韓国で大卒の非正規労働者の月給を指す。当時のレートで換算すると約10万円に相当する。

韓国版「高中平蔵路線」による非正規労働者の急増ということである。先に述べたような竹中平蔵氏は韓国元大統領・李明博のブレーンであったことからも明らかなように、韓国の新自由主義先進国に向けて多大の貢献をし、韓国の悲惨な実態をもたらした責任者の一人といえる人物である。

韓国社会で格差拡大のきっかけとなったのが、1997年のアジア通貨危機が発端にある。危機克服に向けて新自由主義的構造改革(人件費を固定費でなく、消耗j品コストとみなす)が採用され、経営困難に陥った企業による従業員の整理解雇や賃金コスト圧縮を目的とする派遣労働制が解禁された。こうした政策は企業収益の向上に寄与する半面、非正規労働者の急増を招いた。

非正規労働者が労働人口に占める比率は2001年の27%から2004年には37%へ上昇した。それと同時に、若者の就職難がクローズアップされ、2004年には一時、30歳未満の青年労働者の失業率が9%(韓国の統計は、日本を含むOECDなどの統計では3倍になることが指摘されているので、実際には約30%弱になる)になり、労働者全体の3%台(同9~10%台)に比べて著しく高く、正規従業員という希望がかなわず、相当数が非正規労働者になった。

当時の韓国は、「構造改革」 -> 「労働市場の規制緩和」 -> 「企業の人件費削減」 -> 「非正規労働者の増加と若者の就職難」という小泉政権以来の日本の歩みとそっくりである。このことからも韓国のブレーンとしての竹中氏の働きが反映されていることがよくわかる。

霞が関で内閣府を担当していた竹中平蔵経済財政相(当時)の記者会見に出席しては「日本は韓国を見習うべきだ」という趣旨の発言をしていた。韓国を見習うということは雇用問題でも非正規労働者の解禁と非正規労働者の急増による人件費(固定費ではなく新自由主義的には消耗品コスト)削減を見習えということを言っているのである。

韓国の若者は大学に進学するよりほかないという激烈な競争社会で、卒業後も学生ローンで縛られ、自活もままならない低賃金の中で、恋愛、結婚、出産の3つを放棄した世代、すなわち三放世代、さらにマイホーム、人間関係をあきらめた「五放世代」、さらには夢、希望までもあきらめた「七放世代」という言葉まで出るほど深刻な実態になっているのである。
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小泉構造改革の総括と日本の進むべき道 | Comments(0) | Trackback(0)
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