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2015/05/05

7. まとめ ~ 新自由主義先進国、韓国の経済社会の実態

7-1) 低賃金労働者の比率で韓国はOECD加盟国で2番目、かつ賃金不平等で3番目
(中央日報2015/2/21付け)

韓国は経済協力機構(OECD)加盟国のうち2番目に低賃金労働者の比率が高いことがわかった。また、労働者の賃金不平等レベルも3番目に高かった。経済社会発展労使政委員会が最近公開した2014年の賃金報告者によると、2012年を基準に韓国労働者のうち中位賃金の3分の2未満を受ける低賃金労働者の比率は25.1%と把握された。
これは、OECD平均の16.3%を大きく上回り、米国(25.3%)の次に高い。その他、アイルランド(21.8%)、カナダ(21.7%)、英国(20.5%)が高かった。日本は14.3%、オーストラリアは18.9%、ドイツは18.3%であった。

賃金不平等の程度を表わす賃金10分位倍率は韓国がOECD加盟国のうち3番目に高かった。2001年は8番目(4.09)だった。賃金下位10%の労働者と上位10%の労働者の賃金比率を表わす賃金10分位倍率は2012年を基準に韓国は4.71であった。米国(5.22)、イスラエル(4.91)が韓国よりも高い。

報告書作成に参加したソウル科学技術大学教授は「低賃金労働者のOECD平均は2001年16.9%、2012年16.3%で韓国の賃金不平等の程度(25.1%)はOECD加盟国のうち高い水準とし、「過去10年間に賃金不平等がやや拡大した」とみることができるとしている。

7-2) 「グローバリズムの優等生」の韓国 ~ 財閥が潤う一方で平均賃金は下落
(ZAKZAK 2015/2/25付け)

現在、グローバリスム優等生の韓国が抱える「経済問題」は、通貨危機というよりは「国民の貧困化」である。信じられないかもしれないが、現在、韓国は日本を上回るハイペースで平均賃金が下落しているのである。
直近のデータ(14年4月時点)でみると、韓国の常用勤労者5人以上の事業所において、勤労者1人当たりの平均賃金は、前年同期比で8.5%も下落した。(韓国雇用労働部「14年3月基準事業場労働力調査」による)物価変動を除いた実質賃金でみると、前年同期比9.4%の下落である。興味深いことに、サムスン電子、現代自動車、SKという韓国大財閥の財閥オーナーへ支払われる配当金は、前年比55%も増加している。まさに、フランスの経済学者トマ・ピケチィ氏のいう「r > g」の環境が韓国において「激しい形」で実現していることがわかる。

韓国では「持続不可能な形」で格差が拡大しているのである。ちなみに、過去1年間に「貧困のため、食料を買えなかった経験」を持つ人の割合は、日本2%(13年、以下同)であるのに対し、韓国は何と26%、中国(8%)よりも多く、半端な数字ではない。
困ったことに、韓国国民の貧困化は、同国の財閥企業にとっては幸運である。なにしろ、韓国人が貧困化し、賃金水準が下がれば、グローバル市場における価格競争力が高まる。とくに、円安、ウオン高の環境が継続している現在、韓国の大手企業は可能な限り「人件費」を抑制したいところだろう。
筆者(三橋貴明)は、韓国を「グローバリズムの優等生」と呼んでいる。自国の「国民」ではなく、「グローバル企業」を優先した国の行く末がいかなるものになるか。今後の韓国がわれわれ日本国民の前に示してくれるだろう。

日本においても、前に小泉構造改革(新自由主義)において「日本の製造業は誰のために配当金を巨額化したのか」で記載したように、国内の製造業の配当金と労働分配率をみると、特に2001年以降(小泉政権時代)に顕著な変化が見られる。すなわち、労働分配率が引き下げられ行く中で、逆に配当金が巨額化していることが分かる(財務省「法人企業統計」)。日本の製造業が特に、小泉構造改革(新自由主義導入)以降、人件費よりも配当金という色を強めたのは疑う余地はない。まさしく、韓国経済の株主資本主義(グローバリズム、究極の新自由主義)そのもである。したがって、なんら対策を講じずにおれば、日本の行く末は韓国が提示してくれるに違いありません。
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小泉構造改革の総括と日本の進むべき道 | Comments(0) | Trackback(0)
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