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2013/06/07

6. 低炭素・循環型社会の構築

5)-2 化石燃料の消費抑制と温暖化ガス発生のない代替エネルギーの開発
b) 燃料電池
・自動車への燃料電池の搭載
工業や家庭におけるCO2の排出を抑制しなればならないが、車からのCO2排出を低減するシステムの導入が急務です。米国のような車社会では、自動車一台当たりのエネルギー消費が少なくても、自動車由来のCO2総排出量は膨大になり、また厄介なことは排出源が個々バラバラであるので、CO2が拡散・排出され、火力発電のように効率よくCO2を回収することが困難な点にあります。
燃料電池は発電時にCO2を排出せず、無害な水(H2O)を排出するだけなので、車のエネルギー源として理想的なシステムなのです。ガソリン車よりも価格が高く、また水素ステーションなどのインフラ整備に膨大な投資が必要になりますが、地球環境システムの崩壊を防ぐための経費と考えれば安いものではないでしょうか。米国サブプライムローンの破綻により、投機資金が一時原油へとシフトし、原油価格が上昇しました。それにともない食品などの物価の上昇に加え、ガソリン価格の急騰が起こりました。このようなガソリン価格の高騰は、短期的にはエネルギー価格やすべての物価を上昇させ、経済に与えるインパクトは非常に大きい問題ですが、長期的観点に立てば、ガソリンに代替できるCO2排出量の少ない、あるいは大幅に削減できるエネルギー源にコスト的に代替できる可能性を高くするものであり、これらの代替エネルギー開発が促進されるという点でいいところもあるのです。
米国新自由主義経済下でバブル化した金融経済は、人類には何の価値も残さず、多大の被害を及ぼすことになりました。このサブプライムローン破綻に端を発した米国発金融危機により蒙った人類の被害を考えれば、これらの将来展望を明るくする投資は安いものではないでしょうか。

石油はエネルギー源として必要であるばかりではなく、また化学製品の原料として欠くことのできない貴重な資源なのです。エネルギー源として燃やして消費するのではなく、貴重な化学原料として子孫のために長く温存させながら有効活用すべきものなのです。
米国サブプライムローンの崩壊に伴う米国発の深刻な金融危機に伴い、投機資金は原油や穀物に向かい、これらの価格が一時高騰しました。それに伴いガソリン価格の急騰などにより、ガソリンの代替燃料としてバイオエタノールが注目されています。サトウキビを原料とするバイオエタノール生産大国としてブラジルがあり、また米国では、原油相場の高騰に伴うガソリン価格高騰に加えて、全世界からCO2排出大国としてその削減圧力をかけられたブッシュ政権は、化石燃料とは異なり、CO2排出のゼロエミッション燃料としてトウモロコシを原料としたバイオエタノールの生産促進と拡大政策を取り上げたのです。
バイオエタノール燃料は、化石燃料とは異なり、光合成により大気中のCO2が澱粉として貯蔵された穀物などを原料としてバイオエタノールを生産し、これを燃料として使用しても、排出されるCO2量は、光合成によるCO2固定量と同じであり、大気中のCO2量は増加しないということから、地球環境にやさしいエコ燃料とされています。しかしながら、これは、理論的に成り立ちますが、実際にはトウモロコシやサトウキビの粉砕や発酵温度の保持、さらに発酵により生じたエタノールの分離・精製(蒸留)などには化石燃料の燃焼による熱エネルギーを消費し、これが相当大きく期待されるほどCO2の削減にはならないとされています。

燃料電池の車への搭載は、バイオエタノールと比べものにならないほど、CO2排出を大幅に削減できる技術なのです。いまのところ、車への燃料電池への搭載は、成功しつつあるが、なお解決すべき問題点として、装置のコンパクト化と軽量化、水素の安全な大量貯蔵システムの開発などや、現在のガソリンスタンド並の水素供給ステーションの設置などのインフラ整備などが急務の課題です。
現在、燃料電池の本格的な導入には、未だ解決すべき上記のような問題点があり、これらが克服されるまでのつなぎ技術としてのエコカーとしては、①ガソリンと電池システムを併用したハイブリッド車(トヨタのプリウスなど)および②リチウム電池を搭載し、家庭の電力で充電可能な電気自動車(日産のリーフなど)が開発され、すでに市場に導入されています。
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小泉構造改革の総括と日本の進むべき道 | Comments(0) | Trackback(0)
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