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2013/02/05

6. 低炭素・循環型社会の構築

5)-2 化石燃料の消費抑制と温暖化ガス発生のない代替エネルギーの開発

a)原子力発電
・核分裂を利用した発電
現在、大規模に化石燃料に代替するエネルギーとして実現しているのが、核分裂物質であるウラン235を燃料とした核分裂反応を利用した原子力発電です。原爆のように核分裂反応を利用しているが、原子力発電は原爆とは異なり、中性子による核分裂連鎖反応を反応制御棒などにより制御して、暴走させることなく一定の核分裂連鎖反応を維持し、その際に発生する熱を水蒸気タービンを介して電気エネルギーとして取り出しているのです。核燃料としてウラン235を燃焼させた際に、核分裂しないウラン238が中性子を吸収して核分裂物質であるプルトニュウムが新たに生まれます。日本ではプルサーマル計画と称して、使用済み核燃料を再処理し、このプルトニウムを取り出し、ウラン235と混ぜた再生核燃料を使用するという核燃料サイクルによる効率的な原子力発電を目指しています。
ウラン235が核分裂したときに発生する膨大なエネルギーは、アインシュタインの質量とエネルギーが等価とするE = MC2(E: エネルギー、M: 質量、C: 光速=30万キロメートル/秒)なる数式から計算され得るのです。すなわち、ウラン235が核分裂したとき、分裂前の質量に比べて、核分裂後の質量の総和の方が少なくなります。この核分裂で失われた質量がエネルギーとして放出されるのです。上式からもわかるように、失われた少量の質量から膨大なエネルギーが放出されるのがよくわかります。
燃焼済みの核燃料から取り出した核分裂物質、プルトニウムをそのまま核燃料に利用する計画も進められており、このような原子力発電では、使用したプルトニムよりも(ウラン238の中性子吸収により)多くのプルトニウムが生成されるので、高速増殖炉と言われています。このような高速増殖炉では、冷却材として水ではなく、金属ナトリウムを使用しなければならないという厄介な問題があります。金属ナトリウムは水に触れると激しく反応するので、高速増殖炉での発電においては炉内の熱を金属ナトリウムで取り出し、これを熱交換器で水蒸気を発生させ、水蒸気タービンで発電するのです。この際に、金属ナトリウムが流れるパイプにピンホールや熱交換器などにヒビが入ると水との激しい反応が起こり、大きなトラブルが発生することになります。日本は高速増殖炉の実験炉として「もんじゅ」が開発され、安定した運転技術の開発を進めているが、上記のような問題が多発し運転停止、点検などが繰り返されている状態にあり、これまで4兆円という膨大な実験研究費を費やしているが、未だに安定したシステムとしての開発のメドが立っていないのが実情です。

核分裂を利用する原子力発電は、温暖化ガスを発生せず、安定した(変動の少ない)大きな電力が得られるというメリットがあるが、大きな問題もあります。その一つは、核分裂を利用した原子力発電はトイレなきマンションとたとえられるように、高レベルの放射能を有する使用済み核燃料の最終処理法が未だに確立されておらず、各原発に使用済み核燃料プールとして保管されているのです。原発が稼働されるとこの使用済み燃料がどんどん増えて各原発でキャパシティオーバーとなり保管できなくなるのです。地震などで、原発の格納容器内の核燃料のメルトダウンだけでなく、プールの破損などによる使用済み核燃料の露出はメルトダウンと放射性物質の放出・拡散など極めて大きな事故につながる危険性があるのです。
高放射性核廃棄物を最終処理するには放射能が無害レベルに減衰するまで10万年という長い間、安全に保管しなければなりません。カラス固化法などの技術開発が進められているが、10万年という長い年月、漏れずに安全に保管できる保証がないのです。また、人間が子々孫々にわたりこのような長期間、保管管理していけるという保証もないのです。さらに、日本国土の中で、最終処分地をどこにするのかというほとんど解決不可能と思える大きな問題があるのです。
第二の問題は、東日本大震災(2011/03/11)により発生した福島第一原発のレベル7に相当する大事故で経験したように、一度原発事故を起こすと、①原発を中心に膨大な地域が放射能汚染されること、②原発周辺の多くの住民は生まれ故郷や生活地を放棄し、長期間にわたり避難生活を余儀なくされること、高汚染地域はもはや戻ることもできず、日本国土の一部が実質的に失われたことに等しい状態になること、③賠償、除染、風評被害、廃炉などに膨大な金(約25~26兆円)が必要になること、たとえば、フランスで福島第一原発と同一の原発事故(レベル7)が起こった場合、54兆7000億円の費用がかかると試算されているのです。

以上のように、原発には大きな問題がありますが、経済成長に必要な安定したエネルギー源として原発の再稼働や新設を今後とも進めていくのか、否か、日本国民は真剣に考えなけばなりません。安易な原発利用は、膨大な国の借金と同様に子孫に大きな負の遺産を残すことになるのです。
民主党政権は、2030年代に原発ゼロの政策を打ち出しましたが、政権交代した自公、特に自民党は再稼働、新設など安定したエネルギー源として原発容認に傾いています。安倍首相は第一次内閣で美しい日本・国土という政治理念を標ぼうしていましたが、安倍政権の原発容認は福島第一原発事故により実証された美しい日本・国土の一部が失われた現実とは全く相いれない政策ではないでしょうか。
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小泉構造改革の総括と日本の進むべき道 | Comments(0) | Trackback(0)
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