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2012/03/01

6. 低炭素、循環型社会の構築

2. 地球温暖化とそれを防止するための世界的な取り組み
2.1 京都議定書
人間の経済活動があまりにも大きくなりすぎ、この安定した地球環境システムの緩衝能(浄化能力)をオーバーするに及んで、人間社会にこれまでに経験したこともない気候変動およびそれに伴う災害が多発するようになりました。この大きな原因は人間の経済活動、特に先進国と中国やインドなどの新興国によるCO2排出の激増と蓄積による地球温暖化なのです。
そこで、人間の経済活動などの人為起源による気候変化、影響、適用及び緩和方策に関し、科学的、技術的、社会経済学的な見地から評価を行うことを目的として、1988年に世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)により「気候変動に関する政府間パネル(IPCC: Intergovernmental Panel on Climate Change)」という組織が設立されました。
IPCCは、議長、副議長、三つの作業部会及び温室効果ガス目録に関するタスクフォーズにより構成され、それぞれ以下のよう任務を担当しています。
第一作業部会: 気候システム及び気候変化の自然科学的根拠についての評価
第二作業部会: 気候変化に対する社会経済及び自然システムの脆弱性、気候変化がもたらす好影響・悪影響、並びに気候変化への適応のオプションについての評価
第三作業部会: 温室効果ガスの排出削減など気候変化の緩和のオプションについての評価、温室効果ガス目録に関するタスクフォーズとして温室効果ガスの国別排出目録作成手法の策定、普及および改定

気候変動枠組条約に基づき、1997年12月11日に京都市の国立京都国際会館で開かれた第3回気候変動枠組条約締約国会議(地球温暖化防止京都会議、COP3)で各国の温室効果ガス排出削減目標が議決されたのが、いわゆる京都議定書なるものです。議定書で設定された各国の温室効果ガス6種[二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、亜酸化窒素(N2O)、ハイドロフルオロカーボン類(HFC8)、パーフルオロカーボン類(PFC8)、六フッ化硫黄(SF6)]の削減目標を定めています。京都議定書第3条では、2008年から2012年までの期間中に、先進国全体の温室効果ガス6種の合計排出量を1990年に比べて少なくとも5%削減することを目的と定め、続く第4条では、各締約国が二酸化炭素とそれに換算した他5種の排出量について、以下の割当量を超えないよう削減することを求めています。

・92%(-8%): オーストリア、ベルギー、ブルガリア、チェコ、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシア、アイルランド、イタリア、ラトビア、リヒテンシュタイン、リトアニア、ルクセンブルグ、モナコ、オランダ、ポルトガル、ルーマニア、スロバキア、スロベニア、スペイン、スウェーデン、スイス、イギリス(欧州連合15ケ国)
・93% (-7%): アメリカ合衆国(離脱)
・94% (-6%): カナダ、ハンガリー、日本、ポーランド
・95% (-5%): クロアチア
・100% (±0%): ニュージランド、ロシア、ウクライナ
・101% (+1%): ノルウェー
・108% (+8%): オーストラリア
・110% (+10%): アイスランド

なお、京都議定書策定以前から技術のみに依存するのではなく、化石燃料を使わない方法で化石燃料由来排出量を減らしてきた北欧諸国などは京都議定書の目標値が緩く設定されており、例えばスウェーデンでは+4%が認められているなど、具体的な成果を挙げている国については相応の評価がされています。気候変動枠組条約および京都議定書により定められた義務については、その約束が遵守されることを担保するため、罰則規定のように機能する規定が設けられることになりました。具体的にはCOP7およびCOP/moP1で決定され、疑義が唱えられた歳の審議・判断を行う遵守委員会が設けられるとともに、不遵守時には次のような措置が取られることとなっています。

報告義務不遵守に関しては、気候変動枠組条約および京都議定書による温室効果ガス排出量管理に必要な各種排出量および森林吸収量の変化を推計するための基礎的数値については、各国が集計し報告することになっています(京都議定書5条・7条、情報の報告義務)。この報告に問題があった場合には京都メカニズムへの参加資格を喪失するとしています。
排出枠不遵守に関しては、京都議定書により約束した割当量を超えて排出した(削減目標を達成できなかった)場合には、

・超過した排出量を3割増にした上で次期排出枠から差し引く(次期削減義務値に上乗せされる)。
・排出量取引において排出枠を売却できなくなる。

日本は1970年代の2度にわたるオイルショック以来、石油エネルギーの節約と効率的な使用と環境改善を目指して技術開発を進めてきました。1990年時点ですでに世界一の省エネ技術を確立し、いわゆる産業分野でも省エネを達成するとともに、また環境改善技術においても優れた技術(SO2やCO2の回収技術)を開発していました。そして、それらの技術を産業社会にすでに適用し、CO2を始めとする温室効果ガス排出をギリギリまで削減することに成功した社会を樹立していたのです。この京都議定書は2008年から2012年までの期間中に、先進国全体の温室効果ガス6種の合計排出量を1990年に比べて少なくとも5%削減することを目的と定めており、日本に対しては、2012年には1990年の排出量の94%、すなわち1990年の排出量に対して6%削減を要求しているのです。日本は、他の先進国に比べて、1990年時点ですでに極限に近い温室効果ガスの排出抑制を達成していたので、この1990年を基準年とされたことで非常に苦しい立場に立たされているのです。2008年現在、1990年に比べて+6%の排出量増加があるので、2012年までには現在に比べて12%以上の削減をしなければならないという苦しい状況におかれています。そこで、このままでは、目標達成が困難なので、ロシアから排出権を購入するなどして、辻褄を合せようとしているのです。
京都議定書には米国だけでなく、経済の急激な発展を遂げ、大量の温室効果ガスを排出している中国(当時は中国は米国に次ぐ温室効果ガス排出国であったが、2011年には米国を抜き世界一の排出国になる)やインドなどの新興国BRICs諸国が参加していません。京都議定書以降(2012年以降)における排出削減には、米国のみならず、これら排出国の多い新興国を含めて温室効果ガス排出規制の指針を定める必要があります。しかしながら、2008年9月に発生した米国金融危機の発生と経済のグローバル化により、日米欧の実態経済は深刻な同時不況に突入し、さらに欧州におけるユーロ危機が加わり、中国やインドなどの新興国における経済成長も減速しています。その結果、温室効果ガス排出量が急激に減少するという皮肉な結果になっています。それにともない、これまで高額で取引されていた温室効果ガス排出枠権取引も暴落しているとのことです。

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小泉構造改革の総括と日本の進むべき道 | Comments(0) | Trackback(0)
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