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2012/01/25

6. 低炭素・循環型経済社会の構築

1. 市場原理に基づく経済合理性は閉鎖系地球環境では成立し得ない ー 地球環境は新自由主義経済を否定する -

市場メカニズムによる競争により達成される経済合理性は、開放系においてのみ成立する経済理論であることは間違いのないところです。このことは、よく考えてみれば素人でもわかることなのです。新自由主義においては、公的規制をしないで「市場原理」に委ねることを原則としています。この市場原理主義においては、経済的合理性は大気汚染や水質汚染規制などの公的規制がなく汚水の垂れ流しや煤煙の放出が野放しの方が、製品の競争力が確保されるのです。しかしながら、閉鎖系においては汚染物質が地球自身が持つ環境浄化能力をオーバーして蓄積がおこりだすと、人的、物的被害が生じるようになります。これら被害に対する賠償や汚染物質の回収などの環境改善・回復には膨大な費用が必要であり、社会全体が負うべき経済的損失は甚大となり、市場原理において合理的、かつ競争力があっても、社会全体および地球環境全体では決して経済合理性は達成されないのです。このように、環境の閉鎖性を考慮しない市場という限られた空間において達成された経済合理性は、環境閉鎖系の社会、国、あるいは地球レベルからみたときには経済後理性は成立しないことはあきらかなことです。

現在の中国は世界の工場と化しており、中国製品が世界的な競争力があるのは、①人件費が安いことに加えて、②汚水の垂れ流しや煤煙の放出による水質汚濁や大気汚染などの環境を犠牲にして得られたものです。汚水の垂れ流しや煤煙の放出などを続けられるのはあくまでも開放系のみであり、地球咸鏡という閉鎖系では成り立たないのです。
北京オリンピックでも明らかになったように、いくら大きな国土を有する中国といえども、急激な経済成長により、大気汚染や河川や湖沼の水質汚染による水不足が問題になっていることがわかりました。大気汚染や水質汚染が今後とも続き、いずれ健康被害の多発や生命に脅威となる生活環境破壊までに進行していけば、この市場原理による経済合理性は立ちいかなくなるのは目に見えているのです。このような事態になれば、これまでに汚水処理費や大気汚染防止の防止費用などを支払わずに、市場メカニズムによる経済合理性のみを追求し、競争力を維持してきたツケが中国社会全体に大きくのしかかってくるのです。いずれにしても、現在、世界一の競争力を有する中国経済といえども、経済成長にともなう①人件費の上昇、②人件費上昇などによるインフレに加え、③過去の分も含めた大気汚染や水質汚染の改善・回復費、④環境保全対策としての省エネ技術、環境に優しい技術開発費などの膨大なコストを考えると、これまでのような高い経済成長および競争力を有する中国経済が今後とも長く続くことは閉鎖系ではあり得ないのです。それは、中国のような広大な国土を有する国といえども閉鎖系の環境下では経済活動に伴う副作用を公的に制限せざるを得ないのです。このように、自由奔放な市場メカニズムによる経済合理性は常に環境閉鎖系の社会全体、あるいは地球環境に対する経済合理性とは一致しないことを示しているのです。すなわち、新自由主義における市場原理は開放系のみに成立する経済理論であって、資源浪費型の新自由主義経済は地球のような環境閉鎖系では成り立ち得ないのです。
米国は、グローバル化の名のもとに全世界にこの新自由主義による競争社会を押し付けようとしています。地球温暖化は、まさに現在の全世界のおかれた環境は閉鎖系であることを警告しているのであって、今後とも米国流の新自由主義経済がグローバリゼーションの下に推し進められれば、地球温暖化は留まることなく、ますます深刻になることは疑う余地はありません。
地球温暖化防止の国際協力の枠組みを話し合うため、1997年に京都で開かれた第三回気候変動枠組条約締結国会議(COP3)での先進国における温暖化ガス削減においても、米国は各国の削減率を定めた京都議定書から離脱しました。また、先に述べたように、環境サミットとして期待されていた2008年洞爺湖サミットにおいても、先進国が2050年およびその中間に当たる2025年のCO2排出量規制を具体的数字として決定出来なかったのは、米国による反対があったためです。このように、新自由主義を標榜する米国にとっては、公的規制は経済活動の規制に繋がり、市場原理主義に反することで、絶対に受け入れられないのです。
地球温暖化が世界的に問題となり、ゲリラ豪雨、巨大なハリケーンの発生、干ばつなど地球温暖化が原因とされる巨大な自然災害が起こっている現状にあっても、米国は世界一のCO2排出国(2011年には中国が米国を抜き世界一になったが)としての責任を果たそうとしていないのです。米国では、近年、地球温暖化の影響とみられる巨大なハリケーンのニューオリンズへの上陸や竜巻の多発による甚大な被害、また穀倉地帯における干ばつが年々ひどくなり、氷河期から地下に蓄えられていた地下水の枯渇が現実的な問題となりつつあります。それにもかかわらず、世界最大のCO2排出国である米国は積極的な地球温暖化防止のためのCO2ガスの排出規制に消極的なのです。米国におけるこれら被害は自業自得であるというべきものであるが、問題はこのような被害が米国に留まらず、国境を超え、全世界に及ぶことです。
米国は人権や民主主義を全世界に押し付けるが、人類の存亡にかかわる地球環境に最も大きな負荷を与え続けているにもかかわらず、CO2排出量抑制という自らの責任を何なら果たそうとしない身勝手な国家と言われても仕方がないのではないでしょうか。
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小泉構造改革の総括と日本の進むべき道 | Comments(0) | Trackback(0)
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