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2011/03/30

5. 日本の進むべき道 -小さな政府か、大きな政府か -

4) 大きな政府、北欧諸国の実態
4-2) 北欧諸国の経済
米国は「小さい政府」による福祉サービスの切り捨てと公的規制の緩和による「市場メカニズム」を重視した競争原理を追求する新自由主義をとっており、その対極にあるのが北欧諸国の「大きな政府」による福祉サービスを重視する社会民主主義であると考えられています。その大きな特徴の一つは、無制限な競争を公的規制し、利潤の低下をある程度甘受しながらも負の部分をできる限り排除する「規制資本主義経済」といえるところにあります。

1)北欧諸国の国際競争力
米国流新自由主義を信奉する日本の多くの政治家、知識人やエコノミストの中には、北欧諸国のように国民負担率が高いと労働意欲が低下し、経済力に悪い影響があると主張する人たちがいるが、それらの意見は北欧諸国の実態を反映しているとは到底思えないのです。もし、そのような「高負担が低活力な経済を生む」という意見が正しければ、高負担が他の先進国よりもはるかに高い状態が20年以上も続いている北欧諸国では、早くから経済活力が低下し、それに伴う国際競争力が落ちていなければなりません。ところが、実態は正反対で、これら大きな政府である北欧諸国の国際競争力は日本、英国やフランスなどそれよりもはるかに高いのです。
スイスIMDの国別国際競争力ランキングによる先進国、北欧諸国、中国およびインドの07年度の国際競争力の順位を下表に示します。

IMD: 07年国際競争順位

1.米国        13.ノルウェー    20.英国      42.イタリア
3.デンマーク     15.中国       24.日本
4.スウェーデン    16.ドイツ      27.インド
5.カナダ       17.フィンランド   28.フランス
(資料:IMD, World Competitiveness Yearbook 2007)

この競争力ランキングの評価項目は、大分類4項目(経済状況、政府の効率性、ビジネス効率性およびインフラ)および小分類20項目(国内経済、財政、生産性、基礎インフラ、技術インフラ、科学インフラ、貿易、健康と環境など)で構成されています。
日本は02年版では30位であったが、07年版では24位に上昇しているが、米国はいずれも変化なく1位を維持しています。中国およびインドはそれぞれ15位および27位で徐々に順位を上げてきています。北欧諸国のデンマーク、スウェーデン、ノルウェーおよびフィンランドの国際競争力は、それぞれ3、4、13および17位であり、英国、日本およびフランスのそれぞれよりもはるかに上位にランク付けされているのです。

日本は、大分類4項目の中で最も競争力が高かったのはインフラ(6位)で、最も低かったのは政府の効率性(34位)であり、小分類の評価項目では最も高かったのは科学インフラ(2位)で、物価(48位)が最も低かったのです。IMDの「国際競争力」とは、企業の活動を支援する環境が整備されている程度が高いことをもって、高い「競争力」を持つ国と見なしています。いずれにしても、国民負担率が高い北欧諸国は、低負担の日本よりも国際競争力は高く、国民負担率が高いと労働意欲が低下し、経済力に悪い影響があるという日本の識者らの主張は当てはまらないのではないでしょうか。
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小泉構造改革の総括と日本の進むべき道 | Comments(0) | Trackback(0)
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