2010/08/25
5. 日本の進むべき道 -小さい政府か、大きい政府かー
3. 小さい政府、米国の実態
3-5) 米国新自由主義経済の終焉と基軸通貨ドルの下落
サブプライムローンを組み込んだ証券化商品を主体的に取り扱い、巨額の損失を出した米国証券業界第4位のリーマンブラザーズが負債総額約64兆円を出して破綻し、100年に一度と言われる未曾有の金融危機が発生したのです。リーマンの破綻がさらに疑心暗鬼を生み、同様にサブプライムローンで巨額の損失を出している世界最大の保険会社の米AIGの株価が1ケタ台へ株価が急落し、AIGの危機が急激に表面化しました。市場原理主義、すなわち新自由主義をかかげ、すべてを自由な市場および市場原理主義に委ねてきた共和党ブッシュ政権にとっては、私企業に公的資金(税金)を投入して救済することに当初は反対でした。しかしながら、AIGは全世界で巨大な金融マーケットを形成している、企業の破綻リスクを売買する金融派生法品、Credit Default Swap (CDS,約63兆ドル、6,300兆円)を大量に引き受けており、AIGが破綻するとこの巨大なCDSの一角の破綻から世界恐慌が起こる危険性があったのです。そこで、米政府は止むを得ずAIGの資金繰りのためにの融資として850億ドル(約9兆円)の公的資金を投入し、その見返りとして約80%のAIG株を保有し、AIGを実質的に政府の管理下に置いたのです。これにより、一時的にサブプライムローンに端を発した米金融危機に平静さが取り戻されたかのように見えました。しかしながら、米株価の下落はその後も続き、サブプライムローンを組み込んだ証券化商品の不良債権化が益々進んでおり、これら不良債権を一掃しない限り、米金融不安は治まりそうにない様相です。すべてを市場に委ねることを原則とする新自由主義を標榜する米政府は公的資金約75兆円を投入し、不良債権化商品買い取り機構を創設することを決定し、その法案を議会に提出しました。議会では、買い取り価格の基準が不透明なことなどから、すんなりと議会の承認を得ることができないという事態も起こりました。
このように、サブプライムローンから派生した米金融危機は、国による公的規制を緩和し、無制限で、自由奔放に市場主義にすべてを委ねたために起こったと言っても過言ではありません。そうであれば、その後始末も市場に委ねるべきであるが、そうすると米国発政界恐慌に発展する恐れが高く、米国は新自由主義を捨ててまで、公的資金(税金)の投入と政府管轄下という公的規制のもとで再生せざるを得なくなったのです。これらの事実からも明らかなように、すでに米国の新自由主義は終焉を迎えているのです。
このように破綻する運命にあった米国新自由主義を模倣した(実は、ブッシュ政権により強要された)小泉構造改革により日本の再生はできるはずはなく、むしろ、その大きな「負の遺産」により、セーフティーネットを含む多くの経済社会システムを破壊したのは当然の結果ではないでしょうか。
格差社会の拡大、地方の疲弊、限界集落の急増、医療崩壊、社会保障費の削減、派遣労働、日雇い労働、過労死、労働者所得の低下(勝ち組の所得、あるいは収益の顕著な増加)ワーキングプア、年収200万円以下の新しい貧困層の形成(全労働者の1/4, 1000万人以上)、少子化の加速、------など、小泉構造改革によりもたらされ、数えあげればキリがないほど多くの「負の遺産」が、日本の経済社会システムを崩壊に追い込んでいることはすでに詳述した通りです。このような現状を未だに理解せず、マスメディアに踊らされている非常に多くの国民がいるのは本当に信じられないことであり、どうしてこんなに日本国民は劣化したのでしょうか。
TVの低俗番組の多さ、こんなに多くの低俗なワイドショー、バラエティやお笑い番組を毎日放送している国は、おそらく先進国の中でも日本ぐらいのものでしょう。マスメディアは国民に考えることを停止させ、愚民政治に大きな貢献をしているのではないでしょうか。日本のマスメディアとの権力迎合主義、面白おかしくバラエティ化、批判精神を忘れたその質の悪さにはあきれるばかりです。
少し横道にそれましたが、サブプライムローン破綻による米金融危機は米国実態経済の急激な悪化とともに、米国発金融危機が経済のグローバリゼーションにより世界の金融および実態経済に影響を及ぼし、世界同時不況を引き起こしたのです。米株価の下落が一段と進んでおり、基軸通貨ドルの価値は、ほとんどすべての通貨に対して下落しておりドル安の局面にあります。基軸通貨ドルの下落で問題なのは、原油や穀物の取引だけでなく、多国間貿易の決済通貨であるため、米ドルの下落が続けば、現在の世界経済同時不況局面を世界恐慌へと進展させかねない危険性があるのです。基軸通貨ドルの価値下落を止めるために、サブプライム関連の金融不安の一日も早い解消と景気回復の達成、さらにイラクやアフガンからの撤退と戦費(年間3兆ドル、朝日新聞2008年7月20日付)の削減による財政赤字の縮小、イランとの話し合いによる中東の安定化などの施策が米国に求められているのは、2010年の現時点においても何ら変わっていないのではないでしょうか。
3-5) 米国新自由主義経済の終焉と基軸通貨ドルの下落
サブプライムローンを組み込んだ証券化商品を主体的に取り扱い、巨額の損失を出した米国証券業界第4位のリーマンブラザーズが負債総額約64兆円を出して破綻し、100年に一度と言われる未曾有の金融危機が発生したのです。リーマンの破綻がさらに疑心暗鬼を生み、同様にサブプライムローンで巨額の損失を出している世界最大の保険会社の米AIGの株価が1ケタ台へ株価が急落し、AIGの危機が急激に表面化しました。市場原理主義、すなわち新自由主義をかかげ、すべてを自由な市場および市場原理主義に委ねてきた共和党ブッシュ政権にとっては、私企業に公的資金(税金)を投入して救済することに当初は反対でした。しかしながら、AIGは全世界で巨大な金融マーケットを形成している、企業の破綻リスクを売買する金融派生法品、Credit Default Swap (CDS,約63兆ドル、6,300兆円)を大量に引き受けており、AIGが破綻するとこの巨大なCDSの一角の破綻から世界恐慌が起こる危険性があったのです。そこで、米政府は止むを得ずAIGの資金繰りのためにの融資として850億ドル(約9兆円)の公的資金を投入し、その見返りとして約80%のAIG株を保有し、AIGを実質的に政府の管理下に置いたのです。これにより、一時的にサブプライムローンに端を発した米金融危機に平静さが取り戻されたかのように見えました。しかしながら、米株価の下落はその後も続き、サブプライムローンを組み込んだ証券化商品の不良債権化が益々進んでおり、これら不良債権を一掃しない限り、米金融不安は治まりそうにない様相です。すべてを市場に委ねることを原則とする新自由主義を標榜する米政府は公的資金約75兆円を投入し、不良債権化商品買い取り機構を創設することを決定し、その法案を議会に提出しました。議会では、買い取り価格の基準が不透明なことなどから、すんなりと議会の承認を得ることができないという事態も起こりました。
このように、サブプライムローンから派生した米金融危機は、国による公的規制を緩和し、無制限で、自由奔放に市場主義にすべてを委ねたために起こったと言っても過言ではありません。そうであれば、その後始末も市場に委ねるべきであるが、そうすると米国発政界恐慌に発展する恐れが高く、米国は新自由主義を捨ててまで、公的資金(税金)の投入と政府管轄下という公的規制のもとで再生せざるを得なくなったのです。これらの事実からも明らかなように、すでに米国の新自由主義は終焉を迎えているのです。
このように破綻する運命にあった米国新自由主義を模倣した(実は、ブッシュ政権により強要された)小泉構造改革により日本の再生はできるはずはなく、むしろ、その大きな「負の遺産」により、セーフティーネットを含む多くの経済社会システムを破壊したのは当然の結果ではないでしょうか。
格差社会の拡大、地方の疲弊、限界集落の急増、医療崩壊、社会保障費の削減、派遣労働、日雇い労働、過労死、労働者所得の低下(勝ち組の所得、あるいは収益の顕著な増加)ワーキングプア、年収200万円以下の新しい貧困層の形成(全労働者の1/4, 1000万人以上)、少子化の加速、------など、小泉構造改革によりもたらされ、数えあげればキリがないほど多くの「負の遺産」が、日本の経済社会システムを崩壊に追い込んでいることはすでに詳述した通りです。このような現状を未だに理解せず、マスメディアに踊らされている非常に多くの国民がいるのは本当に信じられないことであり、どうしてこんなに日本国民は劣化したのでしょうか。
TVの低俗番組の多さ、こんなに多くの低俗なワイドショー、バラエティやお笑い番組を毎日放送している国は、おそらく先進国の中でも日本ぐらいのものでしょう。マスメディアは国民に考えることを停止させ、愚民政治に大きな貢献をしているのではないでしょうか。日本のマスメディアとの権力迎合主義、面白おかしくバラエティ化、批判精神を忘れたその質の悪さにはあきれるばかりです。
少し横道にそれましたが、サブプライムローン破綻による米金融危機は米国実態経済の急激な悪化とともに、米国発金融危機が経済のグローバリゼーションにより世界の金融および実態経済に影響を及ぼし、世界同時不況を引き起こしたのです。米株価の下落が一段と進んでおり、基軸通貨ドルの価値は、ほとんどすべての通貨に対して下落しておりドル安の局面にあります。基軸通貨ドルの下落で問題なのは、原油や穀物の取引だけでなく、多国間貿易の決済通貨であるため、米ドルの下落が続けば、現在の世界経済同時不況局面を世界恐慌へと進展させかねない危険性があるのです。基軸通貨ドルの価値下落を止めるために、サブプライム関連の金融不安の一日も早い解消と景気回復の達成、さらにイラクやアフガンからの撤退と戦費(年間3兆ドル、朝日新聞2008年7月20日付)の削減による財政赤字の縮小、イランとの話し合いによる中東の安定化などの施策が米国に求められているのは、2010年の現時点においても何ら変わっていないのではないでしょうか。
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