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2010/07/17

5. 日本の進むべき道 -小さい政府か、大きな政府化ー

3. 小さい政府、米国の実態
3-4) 米製造業、ビッグ3に代表される自動車産業の疲弊

マネーゲームにより原油高騰を招いている新自由主義経済が、米国の製造業、特にクルマ社会で巨大な産業を築いているビッグ3を代表とする自動車産業に与えている現状を具体的に見ることにしたい。
米国は、米国サブプライムローン発の投機マネーが原油や穀物商品相場の急騰を招いていることを認めながら、洞爺湖G8サミットの中で米国だけが市場原理に反するとして投機マネーの規制に反対の姿勢をとったのです。また、最大の課題であった温室効果ガス、CO2の排出規制に向けた具体的な数値目標の設定にも反対した結果、洞爺湖サミットには、なんら見るべき成果がなかったと評価されています。この主な原因は、米国の反対にあったのです。
低開発国も参加して、原油・穀物相場の急騰の抑制政策を訴えたが、G8のうち米国以外は投機マネーに一定の規制をかけて、これら商品相場の急騰を抑制すべきという姿勢で一致していました。しかしながら、米国だけが反対したのです。そのお蔭で、マネーゲームにより実態経済とかけ離れた原油高騰は原油高騰は米国経済にも大きな圧力としてのしかかり、これは自業自得というべきものとなったのです。特に、クルマ社会で生活に必須のガソリンの価格が急騰し、それに伴い、米国自動車企業の主力車種である大型のスポーツ用多目的車(SUV)から燃費の優れた小型車への急速なシフトが起こったのです。米国政府の原油高騰に対する姿勢は、自国の自動車産業の凋落、特に米国自動車企業、ビッグ3の経営の急速な悪化を招き、経営破綻が危惧されるほどの大きな問題となって現れたのです。
経営悪化の主因は、主力車種であったSUVやトラックの落ち込みが大きく、ビッグ3の08年度6月の販売台数は前年比20%減となりました。独ダイムラーの2人乗り「スマート」がヒットしていたこと、トヨタのハイブリッド車プリウスは人気が高く、納車を半年待たせるほど品不足が続いていた状態をみると、米国車の販売不振の原因としては、SUVなどの燃費の悪い大型車にあり、ガソリンの急騰に伴う消費者離れであることは明らかでした。
このように、米国が推し進める小さな政府と市場原理主義を至上のものとして、熾烈な競争による弱肉強食社会は、結局のところ、かつては世界一の競争力にあった米国自動車産業を衰退させただけなのです。その原因は、市場原理主義に立つ新自由主義では、企業は株主のものであり、長期的戦略、すなわちCO2削減による地球温暖化対策、燃費の向上、小型車へのシフトなどへの長期展望と経営戦略に立った企業経営を許さないのです。それは、新自由主義経済というものが資本家、株主の企業経営に対する強烈な要求である「短期間での利益の極大化」とそれに見合う「高い配当」を要求するシステムで成り立っているからなのです。
米国発金融危機は自国の実態経済にも大不況をもたらし、米国の製造業を代表する自動車産業 のビッグ3は、いまや政府による公的資金に投入がなければ倒産必至の状態にあるのです。
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小泉構造改革の総括と日本の進むべき道 | Comments(0) | Trackback(0)
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