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2010/03/28

5. 日本の進むべき道 -小さな政府か、大きな政府か -

3) 小さな政府、米国の実態
3)-2 米金融危機と世界経済同時大不況の経緯

第三ラウンド:米大手投資銀行リーマン・ブラザースの破綻および米大手保険会社AIGの経営不安による米金融危機と世界経済同時不況

恐れていた第三ラウンドの金融危機が、いよいよウオール街から始まったのです。それは、米国の銀行および証券からなる金融業界の第4位で、日本のトップである野村証券の4倍もの規模の証券会社(投資銀行)、リーマン・ブラザーズが約64兆円の負債を抱えて、08年9月15日に破綻したのです。今後、経営不安による株価の暴落が避けれられないほどサブプライムローン関連の巨額損失を出している金融業界第3位のメリルリンチは、第2位のバンク・オブ・アメリカにより買収されることになりました。米国の金融不安はこれに留まらず、次に米保険大手のアメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)の株価が急落するという事態に進展したのです。米国AIGグループの総資産は約100兆円、従業員11万6,000人で、全世界(130ヶ国)で保険事業を展開しています。日本でも、アリコやAIGスターなどの保険会社やAIU等の損保事業会社からなるAIGグループが保険事業を展開しており、その総資産は約11兆円、従業員2万6,000人と業界5位の大きな存在です。

08年9月15日のニューヨーク株式市場で、AIGは巨額のサブプライム住宅ローン関連損失(4 - 6月期決算までの3・四半期で計400億ドル)を計上しており、経営不安に加えリーマン・ブラザーズの破綻に連動して売り込まれ、株価が急落(前週比61%下落)したのです(共同通信2008年9月16日配信)。すでにAIGは資金繰り悪化に陥っており、このような世界最大の保険会社が破綻するような事態になれば、その影響はリーマン・ブラザーズの比ではなく、世界金融にさらに大きな混乱を及ぼし、いよいよ世界恐慌の様相が濃くなっていくことになります。
米国政府は、このようなAIGの破綻の全世界に及ぼす影響の大きさから、資金繰りのための融資として巨額の公的資金850億ドル(約9兆円)を投入しました。米政府は、その見返り(担保)としてAIG全株式の79.9%を保有し、米政府の傘下に置くことにしたのです(毎日新聞2008年9月17日付)。なぜ、AIGに公的資金が投入されたのか、米国は民間企業には自由を与えており、自己責任で処理しなければならないのが原則です。米国民は、公的資金とし税金を投入することに対して、一企業をどうして税金で救わなければならないのかと反対するのが通常なのです。しかしながら、AIGが破綻すると保険を契約している個人が損害を被ることになること、また企業の破綻リスクを売買する金融派生商品CDS(Credit Default Swap)残高が2007年末時点で約6,300兆円に達しているといわれており、AIGが多額のCDS残高を有し、AIGが破綻すると大企業の連鎖倒産という最悪の事態を招きかねないことから公的資金で救済せざるを得なかったというのが本音のところではないでしょうか。

米国の新自由主義経済は、ITバブルについで、得体の知れない金融工学というツールを駆使して複雑な金融商品を開発し、今度はマネーゲームによる金儲けを繰り広げ、さらにグローバル経済を推し進めたのです。米国新自由主義はこのマネーゲームによる金儲けを全世界にバラマクことにより世界経済を牽引してきたが、今回のサブプライムローンの破綻による金融危機により、その終焉を迎えようとしているのです。

小泉・竹中らを中心とする新自由主義者らは米国流マネーゲームが、日本に早急に浸透しないことに対して苛立ちを露わにし、日本政府が市場原理に基づく構造改革に消極的であること、そのために日本売りが先行し、日本だけが独り負けの状態にあるとマスメディアを通じて、あたかも脅迫まがいに、かつヒステリックに訴えていました。彼らが日本にも推し進めようとした米国流マネーゲームがこのような破綻状態に陥っている中にあって、ダンマリを決め込んでいるのは、非常に無責任で、卑怯な態度と言わざるを得ません。
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小泉構造改革の総括と日本の進むべき道 | Comments(0) | Trackback(0)
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