2010/02/21
5. 日本の進むべき道 -小さな政府か、大きな政府か -
3) 小さな政府、米国の実態
3)-2 米金融危機と世界経済の同時大不況の経緯
第二ラウンド:住宅相場の下落による米住宅ローン大手銀行の破綻と政府系住宅金融機関(ファーニメイ、フレディーマック)の経営不安
米住宅ローン大手の「インディマック・バンコープ、Indymac Bancorp」の破綻による焦げ付き騒ぎであり(朝日新聞2008年7月12日付)、最も恐れていた深刻な金融危機の前兆が始まったのです。これまでの金融不安は、低所得者向けのリスクの高いサブプライムローン関連金融商品に限定されていました。
しかしながら、この問題の深刻なところは、サブプライムローンの崩壊による米国の住宅価格下落が止まらずに、中所得者向けの優良住宅ローン債権価格の下落を招いたことです。そのために銀行の焦げ付き騒ぎを招き、またこれを契機として世界同時株安に発展することになったのです。実際に、いままで貧しい人たちを救うための寄付をしていた中流階級の人たちが、こんどは逆にホームレスになり、救済される側に転落するという現象が起こったのです。
サブプライム問題でさらに深刻なことは、政府系住宅金融機関の連邦住宅抵当金庫(ファーニメイ)と連邦住宅貸付抵当会社(フレディーマック)の経営不安が急浮上し、株価が急落したことです(ロイター2008年7月11日配信)。
ファーニメイは20世紀前半の大恐慌時代に、またフレディーマックは70年代に設立され、どちらも米国の住宅金融と証券化金融の中核にあります。サブプライム証券化金融商品とは一腺を画していた両社が経営不安に陥ったということは、サブプライム問題を端に発した米国金融不安、あるいは国際金融不安がさらに厳しい第二ラウンドに突入したことを如実に示していたのです。それは、サブプライムローンの崩壊の影響がサブプライム関連証券化金融商品の下落のみならず、住宅相場そのものの下落が止まらず、貸し倒れ不安が優良住宅ローンへと広がったのです。
両社とも国営ではないが、米政府の肝入りで誕生し、様々な支援を受けていたので、市場では両社の発行する証券は政府の暗黙の保証があると見なされていたのです。そのために、2社は米国の住宅金融の半分に関与しており、その規模は約530兆円に上っていたのです(朝日新聞2008年9月7日付)。
余談になるが、米国は、小泉政権を通して日本の巨大な郵政(郵便貯金および簡保保険)は市場経済における規制緩和の障害であり、民業圧迫であるとして、小泉政権に圧力をかけて民営化を迫りました。しかしながら、驚くべきことに、市場経済を自認する米国に日本の郵政とほとんど同じような巨大な半官・半民の企業が存在していたのです。このような事例からも、米国の主張は身勝手なことが多く、真面目に聞いていると騙されるということを肝に銘じておくべきなのです。
経営不安が浮上したため、2社の株価は急落しました。2社の発行する証券は世界中の金融機関が買っており、万が一にも破綻するようなことになれば、世界の金融システムが大混乱に陥り、第一ラウンドでの米ドル安に加えて、なお一層のドル安に拍車をかけかねないのです。それを防ぐため、米当局は2社への機動的な資金供給とともに、財政資金の投入をも辞さない決意を表明しました。
米財務省と連邦準備制度理事会(FRB)はファーニメイとフレディーマックの救済策は、各社に対して①政府の融資枠を大幅に拡大、②必要に応じて政府が株式を買い取りするための資本を注入、③資金繰りが悪化したらFRBが公定歩合で緊急融資する、などでした。要するに、政府と中央銀行が資本・資金を供給して破綻を防ぐ狙いであったのです。
米金融不安の第二ラウンドは、サブプライムローン崩壊に伴う住宅相場の下落が止まらず、中所得者向け優良住宅ローン債権の下落によって発生したものであるが、まだ住宅相場や住宅ローン関連金融商品に限定されていました。しかしながら、なお状況は住宅相場が下落を続け、高所得者向けの最優良住宅ローン関連証券の価格下落や、さらに米国景気の悪化による住宅関連以外の金融商品の下落などへと拡大する懸念があったのです。したがって、今回の2社の危機を凌いでも、一般の金融機関への経営不安が広がり、米国金融不安に留まらず、世界規模の金融不安へと発展する第三ラウンドの金融危機(世界恐慌)が避けられないかもしれない状況に追い込めれつつあったのです。
そこで、08年度四半期ごとの米金融大手の決算が注目され、巨額損失の計上が続くという事態になれば、市場の動揺は、ますます激しくなり、大手銀行の経営危機や破綻をきっかけとして第三ラウンドの金融危機を迎えることは必至の状況にあったのです。
米国発サブプライムローンの崩壊、すなわち住宅バブル崩壊に伴う影響は、サブプライムローン債権が証券化され、あらゆる証券化商品に潜り込まされて全世界に販売されたので、米国内にとどまらず、全世界に広がっていったのです。しかしながら、どのような金融商品にサブプライムが関連しているのか、よくわからず、このことが疑心暗鬼を呼ぶ原因となったのです。
サブプライム関連の金融危機が世界規模で発生する第三ラウンドになれば、恐らくその影響は世界恐慌以外のなにものでもないと恐れられていたのです。だが、米金融不安は恐れていた第三ラウンドに突き進んでいくことになるのです。
3)-2 米金融危機と世界経済の同時大不況の経緯
第二ラウンド:住宅相場の下落による米住宅ローン大手銀行の破綻と政府系住宅金融機関(ファーニメイ、フレディーマック)の経営不安
米住宅ローン大手の「インディマック・バンコープ、Indymac Bancorp」の破綻による焦げ付き騒ぎであり(朝日新聞2008年7月12日付)、最も恐れていた深刻な金融危機の前兆が始まったのです。これまでの金融不安は、低所得者向けのリスクの高いサブプライムローン関連金融商品に限定されていました。
しかしながら、この問題の深刻なところは、サブプライムローンの崩壊による米国の住宅価格下落が止まらずに、中所得者向けの優良住宅ローン債権価格の下落を招いたことです。そのために銀行の焦げ付き騒ぎを招き、またこれを契機として世界同時株安に発展することになったのです。実際に、いままで貧しい人たちを救うための寄付をしていた中流階級の人たちが、こんどは逆にホームレスになり、救済される側に転落するという現象が起こったのです。
サブプライム問題でさらに深刻なことは、政府系住宅金融機関の連邦住宅抵当金庫(ファーニメイ)と連邦住宅貸付抵当会社(フレディーマック)の経営不安が急浮上し、株価が急落したことです(ロイター2008年7月11日配信)。
ファーニメイは20世紀前半の大恐慌時代に、またフレディーマックは70年代に設立され、どちらも米国の住宅金融と証券化金融の中核にあります。サブプライム証券化金融商品とは一腺を画していた両社が経営不安に陥ったということは、サブプライム問題を端に発した米国金融不安、あるいは国際金融不安がさらに厳しい第二ラウンドに突入したことを如実に示していたのです。それは、サブプライムローンの崩壊の影響がサブプライム関連証券化金融商品の下落のみならず、住宅相場そのものの下落が止まらず、貸し倒れ不安が優良住宅ローンへと広がったのです。
両社とも国営ではないが、米政府の肝入りで誕生し、様々な支援を受けていたので、市場では両社の発行する証券は政府の暗黙の保証があると見なされていたのです。そのために、2社は米国の住宅金融の半分に関与しており、その規模は約530兆円に上っていたのです(朝日新聞2008年9月7日付)。
余談になるが、米国は、小泉政権を通して日本の巨大な郵政(郵便貯金および簡保保険)は市場経済における規制緩和の障害であり、民業圧迫であるとして、小泉政権に圧力をかけて民営化を迫りました。しかしながら、驚くべきことに、市場経済を自認する米国に日本の郵政とほとんど同じような巨大な半官・半民の企業が存在していたのです。このような事例からも、米国の主張は身勝手なことが多く、真面目に聞いていると騙されるということを肝に銘じておくべきなのです。
経営不安が浮上したため、2社の株価は急落しました。2社の発行する証券は世界中の金融機関が買っており、万が一にも破綻するようなことになれば、世界の金融システムが大混乱に陥り、第一ラウンドでの米ドル安に加えて、なお一層のドル安に拍車をかけかねないのです。それを防ぐため、米当局は2社への機動的な資金供給とともに、財政資金の投入をも辞さない決意を表明しました。
米財務省と連邦準備制度理事会(FRB)はファーニメイとフレディーマックの救済策は、各社に対して①政府の融資枠を大幅に拡大、②必要に応じて政府が株式を買い取りするための資本を注入、③資金繰りが悪化したらFRBが公定歩合で緊急融資する、などでした。要するに、政府と中央銀行が資本・資金を供給して破綻を防ぐ狙いであったのです。
米金融不安の第二ラウンドは、サブプライムローン崩壊に伴う住宅相場の下落が止まらず、中所得者向け優良住宅ローン債権の下落によって発生したものであるが、まだ住宅相場や住宅ローン関連金融商品に限定されていました。しかしながら、なお状況は住宅相場が下落を続け、高所得者向けの最優良住宅ローン関連証券の価格下落や、さらに米国景気の悪化による住宅関連以外の金融商品の下落などへと拡大する懸念があったのです。したがって、今回の2社の危機を凌いでも、一般の金融機関への経営不安が広がり、米国金融不安に留まらず、世界規模の金融不安へと発展する第三ラウンドの金融危機(世界恐慌)が避けられないかもしれない状況に追い込めれつつあったのです。
そこで、08年度四半期ごとの米金融大手の決算が注目され、巨額損失の計上が続くという事態になれば、市場の動揺は、ますます激しくなり、大手銀行の経営危機や破綻をきっかけとして第三ラウンドの金融危機を迎えることは必至の状況にあったのです。
米国発サブプライムローンの崩壊、すなわち住宅バブル崩壊に伴う影響は、サブプライムローン債権が証券化され、あらゆる証券化商品に潜り込まされて全世界に販売されたので、米国内にとどまらず、全世界に広がっていったのです。しかしながら、どのような金融商品にサブプライムが関連しているのか、よくわからず、このことが疑心暗鬼を呼ぶ原因となったのです。
サブプライム関連の金融危機が世界規模で発生する第三ラウンドになれば、恐らくその影響は世界恐慌以外のなにものでもないと恐れられていたのです。だが、米金融不安は恐れていた第三ラウンドに突き進んでいくことになるのです。
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