2009/09/10
4. 小泉構造改革(新自由主義導入)による製造業の弱体化 -7) 目先の安易な利潤追求によるイノベーションの停滞と競争力の低下
金融危機後においても、米国は依然として世界経済の主導権を握ることは疑う余地はありません。後で詳しく述べるが、米国は強い金融経済以外に、新エネルギー開発、遺伝子操作(GM)農作物など「グリーン革命」の基盤技術であるバイオテクノロジー、ソフトウェアーなど、世界をリードし得る強み分野を持っているのです。
オバマ大統領によるグリーン・ニュディール政策のように、金融経済に続く米国の狙いは地球温暖化防止に向けた新エネルギー開発およびグリーン革命の基盤技術であるバイオテクノロジーを駆使したGM作物の創製、有用農作物の種子の独占による食糧増産と供給による世界支配(食糧安保)と世界に先駆けた低炭素社会の構築とそれに基づく温暖化ガス排出権枠取引を含む環境ビジネスではないでしょうか。
現在においても、地球温暖化防止に向けたグリーン革命に有用なGM作物の創製技術および栽培、それらの有用作物の種子を独占しているのは米国なのです。日本は製造業以外でそのような強み分野がない中で、米国のように新自由主義を推し進めるのはきわめて危険であり、米国の思う壺なのです。日本は強みとする製造業を弱体化させる新自由主義とは、一日も早く決別すべきなのです。
多くの新自由主義者らは、このような考えに猛烈に反論することでしょう。それは、グローバル経済が進展していく中にあって、日本は人件費コストの非常に安い中国やインドなどの新興国(BRICs)との熾烈な競争に晒されているので、あらゆる規制を緩和して市場原理に基づく人件費コストを始めとする経済合理性を徹底して進めて効率化を図らないと生き残れないとするものでしょう。
これらの主張は、「市場メカニズム」に基づく人件費を含むコストダウンにのみに視点を集中しているのが特徴です。何回も繰り返さなければならないが、中国の人件費コストは日本の1/10~1/20であり、日本がいくら人件費のコストダウンに励んでも限界があり、決して勝てるものではありません。
コストダウンを強調する彼らの論理の破綻は明らかであるが、このような論理は非常に単純、かつ明快であるために、新自由主義者らが無知な国民を騙すために利用する得意の論法なのです。
このように、新自由主義者らが声高に主張する市場原理により人件費コストを含むすべてのコストダウンを徹底して実施しても決して中国などの新興国に勝てないだけでなく、日本経済を疲弊させるだけです。日本の強みである科学技術創造立国を崩壊させ、イノベーションの停滞により製造業を衰退させ、取り返しのつかない禍根を残すだけなのです。
新自由主義者らの主張には根本的な欠陥があるのです。それは、彼らの主張には、長期的観点に立った「ひとづくり」と「リスクテイクによる絶え間ないイノベーションによる高付加価値産業の創造」という視点が欠けているところにあります。
小泉構造改革は、その一つの目標として「創造的破壊」を掲げて、停滞する産業・商品の代わりに新しい高付加価値成長産業・商品の創造を目指したが、当然のことながら、それらの目標は何一つ達成されることなく、米国の新自由主義を真似したミニマネーゲーム(金融経済)による目先の金儲けを進めただけに終わったのです。新自由主義はヒト(人材)を物品化して、人件費を物件費として徹底してコストダウンを図り、「ひとづくり」を無視するので、このようなヒト(人材)による革新的な目標は決して達成されるはずがないことは、当初からわかっていたことなのです。
新興国でも製造可能な技術レベルの産業領域では、いくらコストダウン競争したところで、ほとんど勝ち目がないのです。この関係は、高度経済成長期の日本と米国との関係に類似しているが、当時の日本の技術水準で製造可能な産業分野ではすべて日本が勝利したことからも明白なことなのです。米国は、宇宙産業、航空産業、バイオ、医薬品、ITソフトウエアーなどの高度知識・技術集約産業分野の開拓と育成を図ってきたのです。
長期的観点に立ち、「ひとづくり」を通して知的財産権に守られた新規・かつ高度な技術を基盤とする高付加価値産業の創造により、中国をはじめとする新興国との産業上の住み分けができ、グローバル経済における日本の強みを生かせるのではないでしょうか。
日本の製造業で絶え間ない技術革新を行っている画期的な中堅企業が存在することが、NHK TVドキュメンタリー報道で話題なったが、その会社は絶えず新技術の開発を行い知的財産権化し、知的財産権に守られた高い技術を駆使したニーズの高い商品は競争力が極めて強く、高付加価値製品となり、BRICsなどによる値下げ圧力などもないとのことでした。その会社では、リストラなどはなく、定時出勤定時退社が基本でほとんど残業がなく、夏休みなどは他社と比べものにならないくらい長期休暇があるなど、羨ましい労働環境にあるにもかかわらず、利益は年々確実に増加しているというものでした。
このように、日本がグローバル経済で生き残り、勝利するには、絶え間ないイノベーションと知的財産権で保護された高度技術により、現在でも世界一高い技術力と競争力(生産性)を有する製造業を他者の追従を許さない高度な製造業へとさらに強固なものにすること以外にないのではないでしょうか。
すでに当ブログで述べたように、小泉構造改革によりもたらされた安易な(人件費のコストダウンによる)目先の金儲け主義の蔓延により、リスク回避と国際競争力の源泉であるイノベーションの停滞が懸念されている現状にあり(2008年度年次経済財政報告 「経済財政政策担当大臣報告」)、ここにも小泉構造改革がもたらした大きな「負の遺産」が存在しているのです。
オバマ大統領によるグリーン・ニュディール政策のように、金融経済に続く米国の狙いは地球温暖化防止に向けた新エネルギー開発およびグリーン革命の基盤技術であるバイオテクノロジーを駆使したGM作物の創製、有用農作物の種子の独占による食糧増産と供給による世界支配(食糧安保)と世界に先駆けた低炭素社会の構築とそれに基づく温暖化ガス排出権枠取引を含む環境ビジネスではないでしょうか。
現在においても、地球温暖化防止に向けたグリーン革命に有用なGM作物の創製技術および栽培、それらの有用作物の種子を独占しているのは米国なのです。日本は製造業以外でそのような強み分野がない中で、米国のように新自由主義を推し進めるのはきわめて危険であり、米国の思う壺なのです。日本は強みとする製造業を弱体化させる新自由主義とは、一日も早く決別すべきなのです。
多くの新自由主義者らは、このような考えに猛烈に反論することでしょう。それは、グローバル経済が進展していく中にあって、日本は人件費コストの非常に安い中国やインドなどの新興国(BRICs)との熾烈な競争に晒されているので、あらゆる規制を緩和して市場原理に基づく人件費コストを始めとする経済合理性を徹底して進めて効率化を図らないと生き残れないとするものでしょう。
これらの主張は、「市場メカニズム」に基づく人件費を含むコストダウンにのみに視点を集中しているのが特徴です。何回も繰り返さなければならないが、中国の人件費コストは日本の1/10~1/20であり、日本がいくら人件費のコストダウンに励んでも限界があり、決して勝てるものではありません。
コストダウンを強調する彼らの論理の破綻は明らかであるが、このような論理は非常に単純、かつ明快であるために、新自由主義者らが無知な国民を騙すために利用する得意の論法なのです。
このように、新自由主義者らが声高に主張する市場原理により人件費コストを含むすべてのコストダウンを徹底して実施しても決して中国などの新興国に勝てないだけでなく、日本経済を疲弊させるだけです。日本の強みである科学技術創造立国を崩壊させ、イノベーションの停滞により製造業を衰退させ、取り返しのつかない禍根を残すだけなのです。
新自由主義者らの主張には根本的な欠陥があるのです。それは、彼らの主張には、長期的観点に立った「ひとづくり」と「リスクテイクによる絶え間ないイノベーションによる高付加価値産業の創造」という視点が欠けているところにあります。
小泉構造改革は、その一つの目標として「創造的破壊」を掲げて、停滞する産業・商品の代わりに新しい高付加価値成長産業・商品の創造を目指したが、当然のことながら、それらの目標は何一つ達成されることなく、米国の新自由主義を真似したミニマネーゲーム(金融経済)による目先の金儲けを進めただけに終わったのです。新自由主義はヒト(人材)を物品化して、人件費を物件費として徹底してコストダウンを図り、「ひとづくり」を無視するので、このようなヒト(人材)による革新的な目標は決して達成されるはずがないことは、当初からわかっていたことなのです。
新興国でも製造可能な技術レベルの産業領域では、いくらコストダウン競争したところで、ほとんど勝ち目がないのです。この関係は、高度経済成長期の日本と米国との関係に類似しているが、当時の日本の技術水準で製造可能な産業分野ではすべて日本が勝利したことからも明白なことなのです。米国は、宇宙産業、航空産業、バイオ、医薬品、ITソフトウエアーなどの高度知識・技術集約産業分野の開拓と育成を図ってきたのです。
長期的観点に立ち、「ひとづくり」を通して知的財産権に守られた新規・かつ高度な技術を基盤とする高付加価値産業の創造により、中国をはじめとする新興国との産業上の住み分けができ、グローバル経済における日本の強みを生かせるのではないでしょうか。
日本の製造業で絶え間ない技術革新を行っている画期的な中堅企業が存在することが、NHK TVドキュメンタリー報道で話題なったが、その会社は絶えず新技術の開発を行い知的財産権化し、知的財産権に守られた高い技術を駆使したニーズの高い商品は競争力が極めて強く、高付加価値製品となり、BRICsなどによる値下げ圧力などもないとのことでした。その会社では、リストラなどはなく、定時出勤定時退社が基本でほとんど残業がなく、夏休みなどは他社と比べものにならないくらい長期休暇があるなど、羨ましい労働環境にあるにもかかわらず、利益は年々確実に増加しているというものでした。
このように、日本がグローバル経済で生き残り、勝利するには、絶え間ないイノベーションと知的財産権で保護された高度技術により、現在でも世界一高い技術力と競争力(生産性)を有する製造業を他者の追従を許さない高度な製造業へとさらに強固なものにすること以外にないのではないでしょうか。
すでに当ブログで述べたように、小泉構造改革によりもたらされた安易な(人件費のコストダウンによる)目先の金儲け主義の蔓延により、リスク回避と国際競争力の源泉であるイノベーションの停滞が懸念されている現状にあり(2008年度年次経済財政報告 「経済財政政策担当大臣報告」)、ここにも小泉構造改革がもたらした大きな「負の遺産」が存在しているのです。