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2009/07/22

3. 小泉構造改革による持続性社会の疲弊 -2) 内需経済の芽の摘み取り (5) 都市部への一極集中と地方の疲弊

小泉構造改革は、日本経済をこれまでの外需から内需に繋がっていく経済構造を崩壊させたのです。すなわち、大企業製造業とその立地する都市部(特に東京と名古屋圏)に利益が集中し、個人、中小企業、地方へ利益が配分(富の再配分)される仕組みが働かなくなって、一極集中、輸出先導型構造に変質させてしまったのです。
税による富の再配分を抑制し、地方の疲弊をもたらしたのが小泉構造改革による三位一体の改革であったとされています。そもそも三位一体の改革とは、小泉構造改革が目指した「小さな政府」を具現化するために、「地方に出来ることは地方に」という原則の下、地方分権・地方自立を財政面から促進しようとしたものです。
小泉内閣は三位一体改革と称して、地方への4.7兆円の国庫補助金削減および5.1兆円の地方交付税削減を実施しました。これらに対する見返りとしての地方への税源移譲はわずか約3兆円に過ぎないものでした。国のひも付きでない地方への税源移譲は地方分権を促進する意味で好ましいものであるが、それには中央から地方への権限移譲も伴わなければ意味がないのです。
しかしながら、中央官僚は自らの権限を手放してまで地方に税源移譲することなどはあり得ず、小泉内閣による三位一体改革は、地方構造改革、地方分権促進には無縁のゴマカシ改革以外のなにものでもなかったのです。
小泉構造改革は結局のところ、地方への税の再配分を抑制しただけで、中央から地方への権限移譲などの根本的な改革を行わず、地方分権を促進するどころか、むしろ地方の疲弊をもたらしたに過ぎなかったのです。
そもそも新自由主義というものは小さい政府を指向し、国家による福祉・医療などの行政福祉サービスを削減するとともに、地方自治体にも同様に弱者切り捨てを求めるので、これまでの様に大きな政府による都市部から地方への税による富の再配分を否定するのは当然のことなのです。
さらに、この政策の背景には、都市部の税(富)を非効率な地方に再配分することは日本経済を均衡的に疲弊させるだけであり、効率的で強い都市部に税(富)を再投資されなければグローバル経済に生き残れないという市場原理主義的論理が支配していたのです。
このように、日本経済は外需(輸出主導型経済)がこけると弱い内需(内需主導型経済)が支えられないという危うい経済構造になってしまったのです。
その結果、リーマンショック後の世界同時不況において、08年度第4四半期の実質経済成長率(年率)は米国および日本はそれぞれ-6.3%および-14.4%に、また09年度第1四半期においてはそれぞれ-6.1%および-15.2%に落ち込み、日本は金融危機発祥元の米国だけでなく、先進国の中で最も深刻な状況に置かれているのです。
これは、米国発金融危機により全世界が同時不況に突入し、日本のこれまでの輸出主導頼みの経済はもはや成り立たなくなっていることを示しているのです。日本経済の持続的な成長のためには、早急な内需経済活性化を図る必要があるのです。

以上のように、米国発金融危機により全世界がほぼ同時に大不況に突入する危機的な状況に陥っており、これまでの大企業を中心とした輸出主導型経済から内需主導型経済に転換しなければならないのに、これまで述べてきたように小泉構造改革は内需経済の芽を悉く摘み取ってしまったのです。
このような深刻な状況下にあって、内需経済の活性化には自民党政府による将来展望のないバラマキ的な経済政策ではなく、多少時間がかかっても希望を持って働くことができる安定した雇用環境や万が一の時でも安心して生きていくことができるセーフティネットの構築、地方の疲弊など地域間格差の解消など、小泉構造改革の「負の遺産」の是正が最も効果的で、かつ必要とされていることではないでしょうか。
小泉構造改革を強力にサポート・推進したのが経団連であり、小泉構造改革によりもたらされた派遣労働者や低所得者の急増による購買力の低下、少子化加速と人口減少による市場縮小、年金や医療などのセーフティネットの崩壊による個人消費の落ち込み、デフレ経済の進行など大企業といえども今後国内市場で生き残っていくには苦しい経営を強いられることは明らかであり、自業自得と言わざるを得ません。
小泉構造改革の総括と日本の進むべき道 | Comments(0) | Trackback(0)
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