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2015/11/08

7. まとめ ~ 新自由主義先進国、韓国の経済社会の実態

7-7) 韓国家計負債の肥大化(家計負債100兆円超)

2013年10~12月期家計信用によれば、会計信用残1021超ウオン(102兆円、GDPの85.6%に相当)で、2004年末494超ウオン以降9念で2倍に増加している。主に、低所得層(40%)はノンバンクからの借り入れが2008年以降急増している。また、家計負債が1000超ウオン突破しても年率5%以上のスピードで残高が伸び続けている。臨界点を突破し、新規融資が不能になった時膨大な不良債権が発生し、消費低迷によるデフレ、それによる借入負担増大が一挙に襲いかかる。その状況はアルゼンチンやギリシヤ並みに陥ることになる。

韓国の国民総所得(GNI、家計所得+法人所得)に対する家計所得比重の減少速度がOECD加盟国より倍高いことが認められている。さらに、法人所得比重の増加速度はOECD国家の4倍に達し、韓国の家計と企業所得の格差が他の国家よりもさらに深刻であることも明らかにされているのである。
韓国のGNI対比家計所得比重は1995年70.6%から2012年62.3%と8.3%減少したと集計されている。この期間のOECD加盟国のGNI対比家計所得比重の平均は71.9%から67.7%と4.2%減り韓国の半分程度にとどまっている。一方、韓国のGNI対比法人所得比重は1995年16.6%から2012年23.3%と6.7%増加した。この期間のOECD加盟国のGNI対比法人所得比重の平均は16.6%から18.2%と1.6%の増加にとどまっている。
韓国の法人所得比重増か幅はOECD平均の4倍以上であることがわかる。2012年を基準として韓国のGNI対比法人所得比重はG7国家の内、日本(23.7%)を除いた他国(11.9~16.3%)よりははるかに高かった。また、1995~2012年韓国の家計所得増加率(6.2%)対比法人所得増加率(9.1%)は1.5倍でOECD加盟国の1,2倍よりやや高かった。韓国当局は「GNIから家計比重が減って企業比重が降る現象はOECD加盟国で共通して現われているが、韓国の変化速度はOECDの平均より非常に速い」と票かしている。

この韓国の現象は新自由市議先進国家としての帰結であり、トリクルダウンによる所得再配分機能は新自由主義経済では働いていないことを如実に証明している。事実、韓国は超競争社会(弱肉強食社会)、かつ世界でも類をみない超格差社会であり、膨大な家計負債(100兆円を超える)を抱えた悲惨な社会構造となっている。膨大な家計負債があるために、個人消費が停滞し、韓国内需経済が沈滞・疲弊し、不景気に陥っているのである。

一方、法人所得比重の増加により、韓国財閥企業は膨大な倍部留保(約100兆円)をため込んでおり、内需不況によりこの名部留保を設備投資にも使わないため、内需不況を脱出できないという悪循環に陥っているおである。なお、日本でもアベノミクス以前は同様な悪循環に陥っていたのである。ちなみに日本企業の内部留保は約300兆円に達しており、賃上げや設備投資にも使われず、貯めこんでいるだけなのである。

日本も中曽根政権はレーガノミクスの新自由主義を見習い、小泉政権では竹中平蔵氏を中心に本格的な新自由主義が導入された。その結果、上記したように、韓国の2012年GNI対比法人所得比重は23.3%であるのに対し、日本のそれは23.7%と韓国とほぼ同程度であり、日本も家計所得が低下し、一方では法人所得比重が増加し、大手企業を中心として韓国の3倍に当たる約300兆円の内部留保をため込んだのです。このように日本も韓国に劣らず新自由主義の成果(帰結)を体現しつつある。

日本の家計が韓国ほど負債が高くないのは、個人金融資産が2011年3月末で1476兆円(2013年では前年比6.5%増の1665兆5000億円、土地・建物等の非金融資産は前年比0.2%増の1031超3000億円)に上り、その61%が60歳以上の高齢者に保有されていることによるもである。
しかしながら、労働年齢世帯の保有金融資産は少なく、生活保護世帯や就学補助世帯の急増などにみられるように家計は決して裕福でなく、いずれ韓国のように家計負債が大きくなり、超格差社会へと突入することが危惧されるのである。
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2015/08/28

7.まとめ ~新自由主義先進国、韓国の経済社会の実態

7-6) 韓国就活生の悲惨な実態

1)「スチューデントプア」と呼ばれる34万人の就活生
 (SankeiBiz 2015/1/11)

大企業に就職するために資格取得に躍起となり、多額の借金もいとわない。就職できても借金返済に追われ、満足な生活もままならない。背景にあるのは、一流企業に就職できれば金銭や地位が得られ、そうでなければ貧困生活が続くという「超格差社会」だからなのである。
朝鮮日報によると、20代の大学生や公務員試験の専門学校生、所為苦行訓練機関の受講生ら計約316万人のうち、中間レベルの月収の半分にも満たない約106万ウオン(約11万円)未満の「スチューデントプア」と呼ばれる貧困学生が約34万人いるという。
2012年の調査では、在学中の大学生にかかる費用は、授業料288万円、就活で必要な専門学校の授業料や語学研修費などで約151万円かかる。スチューデントプアと呼ばれる低所得の学生はわずかの仕送りとアルバイトの収入で家賃の安い下宿に住み、食費を切り詰めても足りず、借金に頼らざるを得ない。
なぜ、韓国の学生たちが借金までして大企業を目指すのか。「韓国人は周りからどうみられるか」という対面を重視する。大企業に入れば結婚相手も見つけやすく、待遇もいいので周りから持ち上げられ、人生の勝ち組になった気になれるからであり、有名大学、一流の大企業というブランドを得てエリートになることを目指すことになるということである。

2)大学卒者の就職難
(中央日報2014/3/5付け)
韓国は25~34歳の青年層の大学教育履修率が2011年基準で64%とOECD加盟国34ケ国で最も高い。英国47%、フランス・米国の43%、ドイツの28%など、ほとんどの先進国を大きく上回る。
一方、大卒者の就職率は75%で最下位である。オランダ(92%)、メキシコ(78%)、トルコ(77%)、チリ(76%)に劣る。先を争って大学に行くが大学教育に対する満足度は高くない。大韓商工会議所が2001~2006年の大卒就職者1019名対象にアンケート調査した結果、60.3%が「大学教育は企業の要求を反映できていない」と回答した。現在の業務と関連し「大学を卒業しなくてもできること」という回答も28.2%に上った。パク・クネ大統領は教育業務報告(2012/2)で「大学進学が一般化されている韓国社会と違いスイスは大学進学率が29%にすぎないが国家闘争力指数は5年間連続で1位だ。韓国も学閥ではなく能力が中津となる社会体質を変えなければならない」と強調した。教育部関係者は「大学規模過多問題を解消するために不良大学を強制的に整理できる根拠を構造改革関連法案に設ける計画」であるとしている。

日本においても少子化により多くの私立大学で定員割れが起こっており、大学の整理統合が必要な時期にきているように思われる。
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2015/07/17

7. まとめ ~ 新自由主義先進国、韓国の経済社会の実態

7-4)急激な少子高齢化

すでに述べたように、雇用者の36.7%が非正規労働者(日本30%)であり、労働者全体のうち、ワーキングプア(年収200万円以下)が40%を占め、20~30歳の有職者の30%が年収200万円未満であるという過酷な労働実態にある。そのような苛酷な経済環境で、「結婚したいと思わない」(34.1%)、「結婚できるかどうかわからない」(20.3%)および「結婚できないと思う」(18.8%)という若者(20~30歳)が計73.2%に達している。
このような状況下にあって韓国の少子化は日本より急激な少子化に陥り、そtれに伴って急激な高齢社会に突入している。

韓国は2013年、出生率1.19人(日本の合計特殊出生率は1.43人)でOECD加盟国中最低となっています。安心して出産や保育、教育を行える環境を整えるため、制度を手直しする必要がある。一方、韓国国内では高齢者の相対貧困率が50%を超え、固定資産税による負債を抱えている高齢者がいるのが現状で、可処分所得化できる流動資産もなく、韓国の高齢者はお金を持っていない。高学歴の人ですら低所得と雇用不安に悩まされており、韓国の若者たちは「今後はさらに専門知識を身に着けなければ、競争に生き抜くことができない」と考えている。

7-5) 老いるほど貧しくなる韓国 ~ 2人に1人が貧困層
ハンギョレ (2015/1/14付)
高齢者の求職は「至難のわざ」、65歳以上の高齢者の貧困率は48.1%で、OECD平均11%よりはるかに高い。中壮年から老齢貧困率上昇、その原因は高齢者の雇用不足であり、政府推進事業も月20万ウオンに満たない。韓国の老人貧困率は50%に肉迫する。政府は高齢者の社会参加、機会拡大と貧困率緩和のらめ高齢者事業を推進中だが、低賃金と働き口不足で大きな成果をあげられていない。

 韓国は高齢者が貧しい国である。それも非常に深刻なレベルである。統計庁が昨年9月に出した「2014年高齢者統計」によると、高齢者の貧困率は48.1%に達し、65歳以上の高齢者の2人に1人が貧困層だということである。

OECD加盟国の平均値(11%)からすると、いくら「高齢者貧困率が1位の国」とはいえ、50%に迫る韓国の高齢者貧困率は異常としか言えない。 韓国の次に高齢者が貧しい国はオーストラリアで30.2%である。高齢者福祉制度が行き届いているオランダとルクセンブルグの高齢者貧困率はそれぞれ1.5および2.8%である。

高齢者貧困率をライフサイクルごとにみてみると、問題の原因がもっと鮮明になる。現代経済研究院が昨年10月に発表した「高齢化に伴う老年扶養負担と示唆点」という研究報告書によると、OECDの2012年統計などを基に案出だされた韓国の平均貧困率は
41~50歳で9.5%、51~65歳で9.9%、65~75歳で11%であった。
他の国と異なり、韓国の貧困率は中年から壮年に、そして老年になるにつれて急激に高くなるのがとくちょうである。
これに対し報告書は、「韓国の場合、50代以前には安定した収入に基づき中間層の生活を営んでいるが、50代以降は雇用の安定性が低下し、老後への準備が不足している脆弱な階層に転落する警告がある」と指摘している。
また、「特に50代以上が引退後、生計型創業を始めるが、自営業における同種業間の過度な競争の中で生き残れず廃業と失敗を経験する現象がある」と付け加えている。

韓国にとって、もう一つの憂鬱なニュースは高齢化のスピードである。国連が定めた基準によると、65歳以上が全体の人口の7%以上であれば高齢化社会、14%以上であれば高齢社会、20%以上であれば超高齢社会にあたるとされている。韓国はすでに2000年に「高齢化社会」に入っている。今から3年後の2018年には「高齢社会」への仲間入りが確実視されている。超高齢社会への進入予想時点も2026年で、あと10年ほどしか残されていない。高齢化社会から高齢社会に、さらに超高齢社会に突入する時間がそれぞれ18および8年しかかからないのも、日本や米国、ドイツなど他の先進国に比べ、最も早いスピードであることである。
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2015/06/10

7. まとめ ~ 新自由主義先進国、韓国の経済社会の実態

7-3) 韓国ワーキングプア、88万ウオン世代

「韓国ワーキングプア、88万ウオン世代」という本が2009年3月に発売されている。2007年の韓国ベストセラーとなった経済学者ウ・ソクフン氏の著者の邦訳である。88万ウオンは、韓国で大卒の非正規労働者の月給を指す。当時のレートで換算すると約10万円に相当する。

韓国版「高中平蔵路線」による非正規労働者の急増ということである。先に述べたような竹中平蔵氏は韓国元大統領・李明博のブレーンであったことからも明らかなように、韓国の新自由主義先進国に向けて多大の貢献をし、韓国の悲惨な実態をもたらした責任者の一人といえる人物である。

韓国社会で格差拡大のきっかけとなったのが、1997年のアジア通貨危機が発端にある。危機克服に向けて新自由主義的構造改革(人件費を固定費でなく、消耗j品コストとみなす)が採用され、経営困難に陥った企業による従業員の整理解雇や賃金コスト圧縮を目的とする派遣労働制が解禁された。こうした政策は企業収益の向上に寄与する半面、非正規労働者の急増を招いた。

非正規労働者が労働人口に占める比率は2001年の27%から2004年には37%へ上昇した。それと同時に、若者の就職難がクローズアップされ、2004年には一時、30歳未満の青年労働者の失業率が9%(韓国の統計は、日本を含むOECDなどの統計では3倍になることが指摘されているので、実際には約30%弱になる)になり、労働者全体の3%台(同9~10%台)に比べて著しく高く、正規従業員という希望がかなわず、相当数が非正規労働者になった。

当時の韓国は、「構造改革」 -> 「労働市場の規制緩和」 -> 「企業の人件費削減」 -> 「非正規労働者の増加と若者の就職難」という小泉政権以来の日本の歩みとそっくりである。このことからも韓国のブレーンとしての竹中氏の働きが反映されていることがよくわかる。

霞が関で内閣府を担当していた竹中平蔵経済財政相(当時)の記者会見に出席しては「日本は韓国を見習うべきだ」という趣旨の発言をしていた。韓国を見習うということは雇用問題でも非正規労働者の解禁と非正規労働者の急増による人件費(固定費ではなく新自由主義的には消耗品コスト)削減を見習えということを言っているのである。

韓国の若者は大学に進学するよりほかないという激烈な競争社会で、卒業後も学生ローンで縛られ、自活もままならない低賃金の中で、恋愛、結婚、出産の3つを放棄した世代、すなわち三放世代、さらにマイホーム、人間関係をあきらめた「五放世代」、さらには夢、希望までもあきらめた「七放世代」という言葉まで出るほど深刻な実態になっているのである。
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2015/05/05

7. まとめ ~ 新自由主義先進国、韓国の経済社会の実態

7-1) 低賃金労働者の比率で韓国はOECD加盟国で2番目、かつ賃金不平等で3番目
(中央日報2015/2/21付け)

韓国は経済協力機構(OECD)加盟国のうち2番目に低賃金労働者の比率が高いことがわかった。また、労働者の賃金不平等レベルも3番目に高かった。経済社会発展労使政委員会が最近公開した2014年の賃金報告者によると、2012年を基準に韓国労働者のうち中位賃金の3分の2未満を受ける低賃金労働者の比率は25.1%と把握された。
これは、OECD平均の16.3%を大きく上回り、米国(25.3%)の次に高い。その他、アイルランド(21.8%)、カナダ(21.7%)、英国(20.5%)が高かった。日本は14.3%、オーストラリアは18.9%、ドイツは18.3%であった。

賃金不平等の程度を表わす賃金10分位倍率は韓国がOECD加盟国のうち3番目に高かった。2001年は8番目(4.09)だった。賃金下位10%の労働者と上位10%の労働者の賃金比率を表わす賃金10分位倍率は2012年を基準に韓国は4.71であった。米国(5.22)、イスラエル(4.91)が韓国よりも高い。

報告書作成に参加したソウル科学技術大学教授は「低賃金労働者のOECD平均は2001年16.9%、2012年16.3%で韓国の賃金不平等の程度(25.1%)はOECD加盟国のうち高い水準とし、「過去10年間に賃金不平等がやや拡大した」とみることができるとしている。

7-2) 「グローバリズムの優等生」の韓国 ~ 財閥が潤う一方で平均賃金は下落
(ZAKZAK 2015/2/25付け)

現在、グローバリスム優等生の韓国が抱える「経済問題」は、通貨危機というよりは「国民の貧困化」である。信じられないかもしれないが、現在、韓国は日本を上回るハイペースで平均賃金が下落しているのである。
直近のデータ(14年4月時点)でみると、韓国の常用勤労者5人以上の事業所において、勤労者1人当たりの平均賃金は、前年同期比で8.5%も下落した。(韓国雇用労働部「14年3月基準事業場労働力調査」による)物価変動を除いた実質賃金でみると、前年同期比9.4%の下落である。興味深いことに、サムスン電子、現代自動車、SKという韓国大財閥の財閥オーナーへ支払われる配当金は、前年比55%も増加している。まさに、フランスの経済学者トマ・ピケチィ氏のいう「r > g」の環境が韓国において「激しい形」で実現していることがわかる。

韓国では「持続不可能な形」で格差が拡大しているのである。ちなみに、過去1年間に「貧困のため、食料を買えなかった経験」を持つ人の割合は、日本2%(13年、以下同)であるのに対し、韓国は何と26%、中国(8%)よりも多く、半端な数字ではない。
困ったことに、韓国国民の貧困化は、同国の財閥企業にとっては幸運である。なにしろ、韓国人が貧困化し、賃金水準が下がれば、グローバル市場における価格競争力が高まる。とくに、円安、ウオン高の環境が継続している現在、韓国の大手企業は可能な限り「人件費」を抑制したいところだろう。
筆者(三橋貴明)は、韓国を「グローバリズムの優等生」と呼んでいる。自国の「国民」ではなく、「グローバル企業」を優先した国の行く末がいかなるものになるか。今後の韓国がわれわれ日本国民の前に示してくれるだろう。

日本においても、前に小泉構造改革(新自由主義)において「日本の製造業は誰のために配当金を巨額化したのか」で記載したように、国内の製造業の配当金と労働分配率をみると、特に2001年以降(小泉政権時代)に顕著な変化が見られる。すなわち、労働分配率が引き下げられ行く中で、逆に配当金が巨額化していることが分かる(財務省「法人企業統計」)。日本の製造業が特に、小泉構造改革(新自由主義導入)以降、人件費よりも配当金という色を強めたのは疑う余地はない。まさしく、韓国経済の株主資本主義(グローバリズム、究極の新自由主義)そのもである。したがって、なんら対策を講じずにおれば、日本の行く末は韓国が提示してくれるに違いありません。
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